1997 Fiscal Year Annual Research Report
部位特異的遺伝子導入法による生理活性物質生産動物細胞株の樹立
Project/Area Number |
09750873
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西島 謙一 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10262891)
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Keywords | CHO / 物質生産 / トポイソメラーゼ阻害剤 / 浮遊培養 / エトポシド |
Research Abstract |
本研究は動物細胞による物質生産を効率的に行うために、DNAトポイソメラーゼ阻害剤であるエトポシドを用いて生理活性物質生産細胞株を樹立することを目的としている。まずエトポシドの細胞毒性を調べたところ、CHO細胞はCV-1やBSC-1等の細胞株に比べ生細胞数が大きく低下することが認められた。そこで温度感受性のSV40ウイルスのラージT抗原による耐性付与を試みた。ラージT抗原タンパクはDNA損傷時の細胞死に関与するp53タンパクを失活させることが知られ、これによる生存率の改善を期待した。しかしSV40ウイルス遺伝子を導入したCHO細胞は、ラージT抗原タンパクの活性な33℃においても、エトポシドに対しやや高い生存率を示したのみであった。そこでp53より下流で様々な細胞死を阻害するbcl-2遺伝子により耐性をもたせることを検討中である。 次に、来年度の予定を繰り上げ、培養条件が増殖・生産性に及ぼす影響について、通常の方法により取得したインターフェロンγ生産性CHO細胞株を用いて検討を加えた。浮遊培養においては接着培養に比べ増殖が遅れることが観察され、この際細胞増殖停止に関与するcdkインヒビターの一種p27タンパクの発現が認められた。さらに、サイトメガロウイルスプロモーターによるインターフェロンγ生産性そのものも低下することが観察された。プロテインキナーゼCの活性化剤や阻害剤等を用いた解析から、接着状態において活性化されているプロテインキナーゼCが、浮遊状態では活性化されていないため生産性が低下したことが示唆された。
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