1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09750875
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
桂 進司 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (10260598)
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Keywords | DNA / 局所反応制御 / 局所温度制御 / 局所イオン制御 / 制限酵素 / 蛍光観察 / ゲノム解析 |
Research Abstract |
1分子の染色体DNAを末端から断片化した上で、リンカーDNAと連結し、PCR増幅と組み合わせることによりゲノムDNA解析の大幅な簡素化が期待される。その工程の中で不可欠な1分子DNAの切断技術は現在までに紫外線レーザにより実現されているが、この方法では様々な傷害がDNAに生じることは避けられない。本研究の目的は局所的に制限酵素を活性化することにより、1分子DNAの任意の位置でDNAを切断する手法を開発することである。制限酵素活性を局在化する手法としては、局所的な温度を制御することにより制限酵素活性に至適な温度領域を制限する方法と制限酵素活性に必須なマグネシウムイオン濃度を局所的に制御することにより制限酵素活性をマグネシウムイオンが高濃度の領域にのみ制限する方法が考えられるので、本年度はそれぞれの方法について検討を行った。 局所的な温度制御を用いる方法に関しては温度により透明度が転移する液晶を用いた温度制御を試みたが、本年度用いた液晶では局所温度制御に用いているYAGレーザの波長(1064nm)に対する吸光度が低く、十分な局所加熱は難しいことが判明した。そこで、平成10年度は他の液晶を用いること、および今年度用いたフィルム状の液晶ではなく、粒状の液晶をDNAを固定したアガロースゲルに混入させ、局所温度制御を実現することを試みる。 一方、マグネシウムイオン濃度の局所化を用いる方法に関しては、マイクロシリンジ(ハミルトン,50μl)をマイクロフィーダによりドライブすることにより、界面の位置の制御が可能であることを明らかにした。また、ガラスキャピラリをシラン系化合物で処理することでキャピラリ内壁でのDNA分子の伸張固定も可能であることが確認できた。このDNAを対象にして制限酵素を作用させることにより、キャピラリに伸張重固定されら局所的な切断が確認できるものと考えられる。
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[Publications] Katsura,S., Hirano,K., Matsuzawa,Y., Mizuno,A. 他: "Manipulation of Chromosomal DNA and Localization of Enzymatic Activity" IEEE 32nd Annual Meeting Confernce Record of the1997 IEEE Industry Applications Society. 1983-1989 (1997)
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[Publications] Hirano,K., Yamaguchi,A., Katsura,S., and Mizuno,A. 他: "Local Temperature Control by Laser Irradiation;Transportion and Digestion of Single DNA Molecules" MOEMS97. 29-32 (1997)
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[Publications] Yasuda,H., Hirano,K., Katsura,S., and Mizuno,A. 他: "Application of DNA Micromanipulation to Gene Mapping and Localized Restriction Enzyme Digestion" IEEE MES 97. 29-32 (1997)
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[Publications] 平野 研,松澤 有希子,桂 進司,水野 彰: "顕微鏡視野内での局所制限酵素活性領域の形成によるDNA分子の切断" 第21回静電気学会全国大会 静電気学会講演論文集'97. 319-320 (1997)
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[Publications] Katsura,S., Ishii,R., Nishioka,M., Hirano,K., and Mizuno,A.: "Handling of Single DNA Molecule by Controlling Local Temperature" Nanobiology. (in press). (1998)