1997 Fiscal Year Annual Research Report
有機溶媒耐性微生物が産生する有機溶媒に安定なプロテアーゼ
Project/Area Number |
09750880
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
荻野 博康 大阪府立大学, 工学部, 助手 (80233443)
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Keywords | 有機溶媒耐性酵素 / プロテアーゼ / 有機溶媒耐性微生物 / Pseudomonas aeruginosa |
Research Abstract |
プロテアーゼはタンパク質を加水分解する酵素であるが、有機溶媒存在下では、ペプチドやエステルの合成反応を触媒することができる。しかし、一般に酵素は有機溶媒に不溶であり、しかも有機溶媒存在下では容易に変性、失活する。そこで、有機溶媒に安定なプロテアーゼを生産する微生物のスクリーニングを行ったところ、有機溶媒存在下でも生育し、有機溶媒に安定な酵素を生産するPseudomonas aeruginosa PST-01株を得た。この菌株の培養上清に硫酸アンモニウムを添加して硫安分画を行った後、Butyl-Toyopearl650Mを用いた疎水的クロマトグラフィーを行うことによって、PST-01株が生産するプロテアーゼ(PST-01プロテアーゼ)を精製した。精製したPST-01プロテアーゼをSDS-PAGEで分析したところ、分子量約38,000のタンパク質であることがわかった。加水分解反応の至適pHは8.6、至適温度は55℃であり、65℃以下で非常に安定であった。種々の阻害剤を添加したときの活性測定により本酵素はメタルプロテアーゼであり、金属イオンをEDTAで取り除いたアポ酵素に亜鉛イオンやコバルトイオンを添加することにより活性が回復することがわかった。また、種々の合成基質を用いてPST-01プロテアーゼの加水分解の基質特異性について検討したところ、既存のプロテアーゼとは異なった基質特異性を有しており、エステル結合も容易に分解できることがわかった。さらに、PST-01プロテアーゼの有機溶媒安定性を調べたところ、多くの有機溶媒存在下で非常に安定であり、特にアルコール等の水に溶ける有機溶媒を添加したときは、加えないときに比べて安定性が増大することがわかった。
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