1997 Fiscal Year Annual Research Report
ミセル水性二相分配法を用いたタンパク質の高性能分離法の開発
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09750884
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
谷 博文 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10271644)
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Keywords | 界面活性剤 / ミセル水性二相分配法 / タンパク質 / ミセル / 両親媒性高分子 / 分離 |
Research Abstract |
1.まず,タンパク質の抽出に適した新規なミセル水性二相分配系として,TritonX-114/水溶性ポリマーの混合水溶液ならびにポリプロピレンオキシド(PPO)とポリエチレンオキシド(PEO)からなる両親媒性高分子(Pluronic)水溶液について,その相分離条件を検討した。その結果,前者の系では,ポリマーの添加によりTritonX-114の相分離温度を低下することが分かった。さらに電荷を持ったポリマーも僅かではあるが相分離温度を低下させることを見出した。一方,後者の系では,組成の異なる様々なPluronicを用いて相分離温度を測定したところ,L61,25R2という二つのタイプについて室温での相分離が可能であることを見出した。 2.次に,これらの系でタンパク質の抽出を行った。TritonX-114/水溶性ポリマーの系では,タンパク質の分配は界面活性相中のミセルとの疎水性相互作用だけでなく水相中のポリマーとの静電的相互作用によっても制御されていることが明らかになった。この事実をもとに,ブタ肝ミクロゾームから膜タンパク質の選択的な分離を試みた。その結果,ポリマーに負電荷を有する硫酸デキストランを用いると,チトクロムb_5のみが選択的に界面活性剤相に抽出されることを明らかにした。現在,本法によるチトクロムb_5の迅速精製法の確立を行っている。 Pluronicの系では,L61を用いた場合,タンパク質はその親疎水性の違いにより分配が制御されていることが分かった。しかし,PPOとPEOの配列が正反対である25R2の系では,膜タンパク質であるチトクロムb_5の抽出率が大きく抑制された。25R2はミセルのネットワーク構造を形成するため,界面活性剤相からのタンパク質の排除効果が働いたものと考えられる。これは,サイズの違いによる分離の可能性を示唆するものであり,詳細は現在検討中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tani,Hirofumi: "Extraction of Proteins Based on Phase Separation in Aqueous Triblock Copolymer Surfactant Solutions" Analytical Sciences. 13巻6号. 925-929 (1997)
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[Publications] Tani,Hirofumi: "Separation of Microsomal Cytochrome b_5 via Phase Separation in a Mixed Solution of Triton X-114 and Charged Dextran" Journal of Chromatography B. (掲載決定). (1998)