1997 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解準弾性レーザー散乱法の開発と液液界面の物質移動機構解析への応用
Project/Area Number |
09750886
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
露本 伊佐男 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (60282571)
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Keywords | 準弾性 / レーザー散乱 / 液液界面 / 界面活性 / 分子計測 / 物質移動 / リプロン / 界面張力波 |
Research Abstract |
準弾性レーザー散乱法に高サンプリング周波数のFFTアナライザ及び低ノイズの半導体励起YAGレーザーを適用したことにより、その時間分解能を従来の3秒から1.6ミリ秒に改善することに成功した。S/N比は従来と比べて100倍程度向上した。準弾性レーザー散乱法を界面活性分子の液液界面での挙動追跡、及び液液界面領域の密度評価に適用した。 陽イオン性界面活性剤セチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)水溶液を水/ニトロベンゼン界面に注入し、その後の液液界面での分子数密度の変化をモニターしたところ、界面分子数密度は一時的に急増した後、徐々に減少して平衡に達することがわかった。その経時的変化から、界面活性分子の水/ニトロベンゼン界面への吸着エネルギーを求めたところ、ミセルが単分子に崩壊し界面に単分子膜となって吸着する場合のエネルギーに一致することがわかった。このことからCTABミセルは界面近傍で崩壊し単分子膜となって界面に吸着すると結論した。 また、準弾性レーザー散乱法で観測される界面張力波の周波数から流体力学のLevichの式により、水/アルコール界面、及び水/カルボン酸界面の液液界面領域の密度を見積もったところ、バルク領域の密度よりも小さい値となることが示唆された。さらに、アルコール及びカルボン酸の疎水基が長くなるにつれ、液液界面領域の密度が小さくなるという結果が得られた。このことから、液液界面領域の密度が実際に疎水基の相互作用によりバルクより小さくなっているか、液液界面領域に流体力学の連続モデルは適用できないかのどちらかであると結論した。
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[Publications] 章 真輝、露本伊佐男、北森武彦、澤田嗣郎ほか: "Monitoring of Molecular Collective Behavior at Liquid/Liquid Interface by a Time-Resolved Quasi-elastic Laser Scattering Method." Journal of Physical Chemistry A. 101. 4163-4166 (1997)
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[Publications] 露本伊佐男、北森武彦、澤田嗣郎ほか: "Density Estimation of Liquid/Liquid Interfacial Regions Using a Quasi-Elastic Laser Scattering Method" Journal of Physical Chemistry A. 102(印刷中). (1998)