1997 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー励起非線形分光法を用いた単一分子検出による界面での分子分光と動的挙動解析
Project/Area Number |
09750889
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井上 高教 九州大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (40243969)
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Keywords | 高感度分析 / 微小領域 / レーザー励起非線形分光 / 多光子イオン化 / 伝導度法 / アントラセン / 印加電圧 / 蛍光 |
Research Abstract |
1.研究目的 界面や表面などの極微小領域に存在する分子をレーザーを用いて高感度に計測し、界面の構造を明らかにすることを目的とした。 2.研究成果 レーザー非線形光学効果であるレーザー多光子イオン化法を用いて、溶液や固体表面の定量分析を行い、検出感度とシステムの最適化を行い、有益な知見を得た。 (1)装置の試作……超高感度電流・電荷計を購入し、システムを構築した。Nd;YAGの第3高調波光(355nm)を励起源とし、集光のための光学系を試作した。 (2)集光状態……レーザー光は、CCDカメラの実測で、約1μmまで集光したが、試料より発生する蛍光信号は、濃度換算で、約10nmol/Lであった。 (3)多光子イオン化……より高感度が望めるレーザー励起の2光子イオン化法を適用した。 (4)電極構造……電極は先端が1μmの微小化を達成し、印加電圧も10kV/cmとすることができた。 (5)最適レーザー密度……集光された状態で、120mJ/pulse/cm^2においてSN比が最も高く、試料の損傷もないことが分かった。 (6)検出感度……非極性溶媒中のアントラセン分子で、検出濃度は1nmol/L(検出分子個数で3fmol=百万個)の感度を得ることができた。 (7)固体試料……アントラセン分子の滴下膜において、3pmol/cm^2(検出分子個数で20fmol)の感度を得ることができた。この時の測定対象領域は、約1μm^2であった。 3.まとめ 検出分子個数では、まだまだ多いが、装置の最適化(電流計の安定化と印加電圧の増加)によりSN比は約6桁の向上が望めるので、単分子検出も可能である。同時に蛍光信号も測定することで、分子の高感度分析と、状態解析を試みる。
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