1997 Fiscal Year Annual Research Report
S-D型分子を含むLB膜内での光誘起分子内電子移動速度の評価
Project/Area Number |
09750898
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
迫村 勝 横浜国立大学, 工学部, 助手 (20235237)
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Keywords | Langmuir-Blodgett膜 / 電子移動 / 蛍光寿命 / dyad / 分子素子 / ピレン / フェロセン / 光電変換 |
Research Abstract |
1.S-D分子の合成 増感色素(S:Sensitizer)としてピレン(Py)、電子受容体(A:Acceptor)としてフェロセン(Fc)が炭化水素鎖で結合された構造を含むS-D型分子(HOOC(CH_2)_mPy(CH_2)_nFc(CH_2)_2CH_3)をn=6,7,8,9の4種類について合成した。さらにn=4,10の化合物の合成を予定している。 2.S-D分子内電子移動速度の炭化水素鎖長依存性の検討 蛍光寿命測定に先立って、定常光励起による蛍光発光強度の結合鎖長依存性が、合成された4種類のS-D分子と、以前に合成されたA-S分子のLB膜についても改めて調べられた。S-D分子のシリーズについては、あまりリニアリティの良くない結果となり、電子移動速度のパラメータを決定するまでにはいたらなかった。一方A-S分子に関しては、すでに蛍光寿命測定により、その電子移動速度に関しては、見積もられていたので、一致を確認するために定常光励起での測定を試みた。しかし、目的に反する結果ではあるが、今回の測定条件では、分子内の過程のみにとどまらず、分子間電子移動と、さらにフォトクロミズムによる効果が、発光強度に大きな影響を及ぼすという非常に興味深い現象が明らかとなった。これは、膜などの分子集合系での蛍光測定の際に非常に一般的に起こりうることであるにもかかわらずこれまで見落とされて来たことであり、新たな消光の因子を発見したと言える。また、このような系において正確に分子内電子移動を見積もるための今後の重要な指針を与えるものである。この成果については、平成9年米国モントレーで行われた第8回LB膜国際会議にて発表され、Thin Solid Film誌に今年中の掲載が予定されている。
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Research Products
(1 results)