1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09750899
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
元平 直文 横浜国立大学, 工学部, 助手 (30242043)
|
Keywords | 溶融炭酸塩型燃料電池 / 酸化ニッケル / カソード |
Research Abstract |
MCFCのカソードに用いられている酸化ニッケルは、金属ニッケルをin situ酸化して得られている。本年度は、MCFCカソードの性質を明らかにするために、金属ニッケルの酸化挙動と、酸化ニッケルのリチウム化の挙動を調べた。実験はLi_2CO_3/K_2CO_3=62/38の共晶塩を650℃に保ち、この中に金属ニッケルの線を浸し、クロノポテンショメトリーを行った。対極、参照電極は金線を用い、O_2:CO_2=1:2の酸素電極とした。 まず、ポテンシャルスイ-プにより分極曲線を求めたところ、-0.6Vおよび-0.4V付近に2つのピークを観測した。次に、クロノポテンショメトリーを行ったところ、分極曲線のピークに対応する-0.6Vおよび-0.4Vで2つの停滞電位が認められ、電位が2回遷移していることがわかった。試料を観察したところ、1回目の遷移直後は緑色の酸化ニッケルであったが、2回目の遷移後は黒色を呈しており、リチウム化が進行したと思われる。 SEMによる観察を行ったところ、1回目の遷移で生成した酸化ニッケル相は多孔性であったのに対し、2回目の遷移で生成した酸化ニッケル相は緻密であった。また、異なるバッチの金属ニッケルで測定を行ったところ、1回目の遷移時間はほぼ同程度であったのに対し、2回目の遷移時間は5倍以上の違いが見られた。 以上より、溶融炭酸塩中におけるニッケルの酸化は、まず表面のニッケルが酸化した後、試料に依存する2段目の酸化がおこり、同時にリチウム化が進行することがわかった。
|