1997 Fiscal Year Annual Research Report
光ビ-ト法を用いたブリルアン散乱分光による分子振動緩和の解析
Project/Area Number |
09750904
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
作花 哲夫 京都大学, エネルギー理工学研究所, 助手 (10196206)
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Keywords | ブリルアン散乱 / 光ビ-ト法 / 振動緩和 / 熱レンズ |
Research Abstract |
本年度は分子振動緩和の解析のためのブリルアン散乱分光の測定を,低波数領域で非常に高い分解能が得られる光ビ-ト法を用いて行う方法を確立することを目的としてきた.低波数領域を高分解能で測定するため,これまでには問題にならなかったような現象が顕在化することが本研究で明らかになった. 試料としてはクロロフルオロエタン(CC1F_2CHC1_2)を検討した.この分子は分子内回転の自由度を持っているため、低温でのフォノンの減衰挙動は興味あるところである.光ビ-ト法によるブリルアン散乱スペクトルをローレンツ分布関数に回帰し,その半値幅を求めると入射光強度および試料セル中での測定位置に依存することがわかった.このことはフォノンの減衰によるスペクトルの広がりに加えて他の効果が存在することを示している。その原因として、励起光ビームによって生成する熱レンズによるビーム広がりの効果があげられる.レーザー強度を増大させることによるスペクトル幅の増加,あるいは、セルの出口側に近いところでの測定で半値幅が増大することも熱レンズ効果によるビームの広がりにより説明できる.さらに詳細に検討するとスペクトルの広がりは左右対称でないことがわかる。このことは、熱レンズ効果によるビームの広がりが励起光ビームに対しては対称であるが,励起光ビームに対して角度を持っているプローブ光ビームに対しては対称でないことから理解できる. 熱レンズによるビームの広がりを回避するにはビーム強度を十分に下げることが要求される.ビーム強度が低いときに十分なS/Nを得る方法を今後検討する必要がある.
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