1997 Fiscal Year Annual Research Report
架橋高分子膜中の微細孔分布を利用した選択的ガス吸着の研究とガスセンサへの応用
Project/Area Number |
09750907
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
松口 正信 愛媛大学, 工学部, 助手 (50190434)
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Keywords | CO_2ガス収着 / 光架橋ポリケイ皮酸ビニル / 微細孔分布 |
Research Abstract |
光架橋したポリケイ皮酸ビニル膜へのCO_2ガス収着量への架橋率の影響について調べた。CO_2ガスの収着量は架橋率の増大と共に増加し、約95%程度の架橋率で最大となり、それ以上の架橋率では逆に減少した。この現象を説明するために収着等温線解析や収着熱測定などを行った。得られた収着等温線は、ガラス状高分子膜への低分子ガスの収着に対して見られる典型的な二重収着等温線に類似していた。そこで二重収着式を適用し等温線解析を行ったところ、今回得られた収着量の架橋率依存性は、主に架橋膜中のミクロボイドへのラングミュアー吸着量の変化によって引き起こされていることがわかった。さらにその内容を詳しく調べてみると、ミクロボイドへの親和定数には架橋率依存性はほとんど見られず、ミクロボイドの飽和定数が架橋率に大きく依存していることが確認された。また、測定温度を変えて収着等温線を求め、Clausius-Clapeyron式より微分吸着熱を求めたところ、吸着熱も架橋率にはほとんど依存していないことが確認された。以上の結果は、今回の収着量の架橋率依存性が、別の吸着エネルギーを持った新しい吸着サイトの出現によって生じたものではなく、架橋反応の進行に伴う吸着サイトであるミクロボイドの数の変化によって生じたことを示唆している。すなわち、架橋率の増大によるCO_2ガス収着量の増大は、架橋反応の進行に伴って自由体積の微細化が起こりその結果吸着サイトであるミクロボイドの数が増加したことで説明され、一方、架橋率95%以上では自由体積の微細化が進みすぎてミクロボイドのサイズが小さくなりすぎ、その結果CO_2ガスが膜内に収着できなくなる、いわゆる分子ふるい効果で説明された。
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