1997 Fiscal Year Annual Research Report
光学活性なアニオンを用いたオレフィンラジカルカチオンの立体区別二量化反応
Project/Area Number |
09750914
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤田 守文 姫路工業大学, 理学部, 助手 (00275314)
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Keywords | ラジカルカチオン / 立体区別反応 / 電極酸化 / 反応機構 / 求核付加 |
Research Abstract |
今年度の研究において、ラジカルカチオンへの求核付加反応において立体区別過程を組み込むことに成功した。立体区別をより強くするため、光学活性アルコールをナフタレン環の側鎖に導入した基質を合成した。その基質を電極酸化によってラジカルカチオンを発生させたところ、溶媒であるメタノールの付加がナフタレン環の4位で進行するとともに1位に分子内のアルコールが付加した環状アセタール構造を持つ生成物を得た。1位での付加においてナフタレンの面が完全に区別された単一のジアステレオマ-のみが得られたが、4位の付加での面区別は見られなかった。そこで、反応温度を-78℃に下げて反応を行ったところ、4位の付加も67:33の比率で面区別されることを見出した。また、ナフタレン環に置換基を導入した誘導体についても同様の結果を得た。これらの結果から、側鎖のアルコールを持つナフタレン化合物の電解酸化反応において初めに環状アセタールを形成するという、従来提唱されている反応機構に対して異論を唱えることが出来る。今回用いた基質では最初にアセタール構造を取るとその部分のキラリティーが失われてしまうため、その後、4位にメタノール付加が起きるとナフタレンの面を区別することは出来ない。そのため、環状アセタール構造を取る前にメタノールの付加が4位で進行していると考えられる。この様に、本研究では新規なラジカルカチオンの立体区別反応を見出すとともに、その結果をラジカルカチオンの反応機構の指標として用いることも出来た。
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Research Products
(1 results)