1997 Fiscal Year Annual Research Report
固体MAS NMRを併用したβ-サイアロンの酸化機構の解明
Project/Area Number |
09750915
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
清野 肇 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50281788)
|
Keywords | β-サイアロン / 酸化 / 粉末 / ムライト / シリカ / NMR / 水蒸気 / 高温 |
Research Abstract |
サイアロン粉末と窒化ケイ素粉末の高温(1000〜1300℃)での酸化挙動をサイアロンの組成と酸化される雰囲気、の2点から評価し、次にX線回折と固体MASNMRによる酸化生成相の同定を行った。 サイアロンの組成によってどのように酸化挙動に影響が表れるかを調べるため、含まれるアルミナの異なるβ-サイアロンの粉末を用いた。これら粉末を高温で酸化させ、その重量変化を測定した。この結果から酸化反応はサイアロン表面に生成する酸化層中の酸素の拡散が律速となっていると考えられ、サイアロンの組成にアルミナ固溶量が多くなる程、酸化の活性化エネルギーが小さくなることを見い出した。次に雰囲気の影響、とくに水蒸気の影響を調べた。水蒸気を雰囲気に含ませ酸化実験を行った。この結果、雰囲気に水蒸気を含ませた場合、どの試料でも酸化が速く進むことが示された。酸化反応は水蒸気が含まれると速くなり、例えば1200℃においては2から4倍程度変化した。しかし酸化反応の見かけの活性化エネルギーには大きな違いは認められなかった。 上記の結果からサイアロンの酸化挙動を解明するには、酸化によって生成する物質とその生成の挙動の解明が不可欠であると考えつぎの実験を行った。酸化生成相の組成の確認をするため、時間を1時間に固定しサイアロン粉末を酸化させ、X線回折と、ケイ素、アルミニウム核のMASNMR測定を行った。X線回折ではムライトが1200℃以上で酸化した試料で確認できたが、MASNMRから1100℃でも結晶性は悪いがムライトが生成していることが示唆された。また非晶質のシリカが生成していることがシリコン核のMASNMRから明らかになった。これらの結果からサイアロンの組成が異なると、酸化生成相に含まれるムライトとシリカの割合が変化するため、酸化の活性化エネルギーが変化すると考えられた。
|