1997 Fiscal Year Annual Research Report
結晶質-非晶質複合塩化物イオン伝導体の開発と塩素ガスセンサへの応用
Project/Area Number |
09750925
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
青野 宏通 愛媛大学, 工学部, 助手 (00184052)
|
Keywords | 塩素ガス / ガスセンサ / 固体電解質 / 濃淡電池 / 起電力 / NASICON |
Research Abstract |
塩素ガスは、毒性の強い腐食性ガスであるため、排出ガス中や工場内の塩素ガス濃度をモニターできるセンサの設置が切望されている。我々はこれまでに塩化物イオン伝導体である塩化物系化合物を塩素ガスセンサへ応用し成果をあげているが、これまでの研究では多結晶体を固体電解質として用いていたため、粒界にわずかなすき間ができ、それにより10ppm以下の低濃度域の応答が十分に得られないことが考えられた。これらの結果を考慮し、塩化物結晶を伝導母体とし、粒界の気孔を溶融により低融点のガラス材料で密閉することにより、高導電率を維持しつつ高緻密化した材料を開発し、低濃度でも検知可能なセンサへの応用を目指すことを考え実験を行った。 実験で使用したのはPbCl_2-PbO-SiO_2系三成分系であり、PbClp_2量を大きくすると伝導性の高いPbCl_2結晶がガラス中に析出し、伝導性も緻密性も高い、結晶-ガラス複合固体電解質ができる。しかし、実験を進めて行くうちに、塩化物中にPbOなどの酸化物が存在すると塩素ガスと反応する副反応が起こり、起電力が変化したり応答が遅くなり、ガラス化剤として酸化物を添加するとセンサ応答が著しく低下することが明らかになった。ハロゲン化物のみで塩化物伝導性ガラスを作製することが困難であることから、塩素ガスに対する素子の安定化を図る目的で、ハロゲン化物を全く含まない安定な酸化物を材料として用いることを試みた。その結果、Na^+イオン伝導体としてよく知られるNASICON系複合酸化物でガラス相を含ませることにより緻密性の高い材料が得られ、この材料は塩素ガスセンサへの応用が可能であることが明らかになった。
|
Research Products
(1 results)