1997 Fiscal Year Annual Research Report
高原子価金属ポリフィリン錯体の軸配位子交換を利用したハロゲン化アルキルの光反応
Project/Area Number |
09750937
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
白上 努 九州大学, 有機化学基礎研究センター, 助教授 (60235744)
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Keywords | ポルフィリン / 高原子価金属 / 光反応 / 軸配位子 / 軸配位子交換 / 置換反応 / ハロゲン化アルキル / 錯体 |
Research Abstract |
本研究では、アンチモン(V)テトラフェニルポルフィリン錯体の軸配位子交換反応において臭素配位子(ブロモ基)から水酸基への熱反応による交換過程に焦点を絞り、ポルフィリンの構造変化及び溶媒効果の面からアンチモン(V)ポルフィリン錯体上の臭素配位子の置換活性を検討した。その結果、ブロモ基から水酸基への軸配位子交換反応において、反応溶媒として30%以下の含水アセトニトリル溶液で行うと片側の軸配位子のみが水酸基へ置換した錯体がほぼ定量的に得られ、また30%以上の含水率では両側とも水酸基へ置換された錯体が得られた。この反応選択性は求核剤である水の濃度効果よりもむしろ置換反応で生成するプロトン濃度(HBr)が影響を与えていることが明らかになった。また、メソ位のフェニル基としてパラメトキシ、パラシアノ置換体をそれぞれ合成し、ポルフィリン環のπ電子密度に対する水酸基への置換活性を検討した。以前の検討より、フェニル基の置換基の電子的効果がポルフィリン環のπ電子密度に影響を及ぼすことが明らかにされている。その結果、シアノ体の場合における置換活性が若干大きいことがわかった。このことは今後、ハロゲン化アルキルとの反応を構築する上で重要な知見となる。さらに、アルコキシド配位子以外にもフェノキシド、ナフトキシド、ピレノキシド誘導体に対しても置換反応が進行することを明らかにした。しかし、この場合臭素配位子のトランス位が水酸基である錯体の場合にのみ臭素配位子からの置換反応が進行するものの、2つ臭素配位子を持つ錯体からの置換反応は全く進行せず、アンチモンポルフィリンはフリーベースポルフィリンへ変化することがわかった。これは2つの臭素配位子を持つ錯体では、フェノキシド誘導体からの電子移動が進行するためと考えられた。
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Research Products
(1 results)