1997 Fiscal Year Annual Research Report
プロパジエニリデンカルベン類と単体カルコゲンからの新規なヘテロクムレンの発生
Project/Area Number |
09750939
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
青柳 重信 岩手大学, 工学部, 助手 (90271840)
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Keywords | プロパジエンチオン / プロパジエンセロン / 単体硫黄 / 単体セレン / α,β-不飽和チオアミド / α,β-不飽和セレノアミド |
Research Abstract |
単体硫黄、単体セレンとプロパジエニリデンカルベノイドの反応によりそれぞれプロパジエンチオン類1、プロパジエンセロン類2の簡便な発生を検討した。しかしながら1,2は不安定でその単離には困難が予想される。そこでまず捕捉実験により1,2発生の確認を行った。 1,1-二置換2-プロピン-1-オール3に対しNaH,MeIを作用させ相当する二置換プロパルギルメチルエーテル4に導いた。次にTHF中で4に種々の2級アミン,n-BuLi,Sを順次作用させることにより相当するα,β-不飽和チオアミド5が比較的良好な収率で得られた。以上から系中における1の発生が確認されるとともに、5の温和な条件下における簡便な合成法が確立された。単体セレンを用いた場合も同様の結果が得られた。また反応機構の解明の目的で種々の検討を行ったところ、4のアセチリドの単体硫黄からエチニルチオラートが発生した後-OMe基が脱離するイオン的な反応経路をとり、プロパジエニリデンカルベン中間体を経由しないことがわかった。 次に捕捉剤の2級アミン非存在下においてプロパジエンチオン1の発生を検討した。電子供与性のp-MeOC_6H_4基を導入した場合、1の二量体と考えられる不安定化合物が少量ながら得られた。現在この化合物の構造解明を急いでいる。また、中間体のエチニルチオラートと平衡にあるα-リチオチオケテンのリチウム原子への分子内酸素原子の配位が-OMe基の脱離の際に不可欠と考えられる。そこで-OMeの代わりに、より安定な六員環遷移状態経由が可能な-OTHP,-OCOR等の脱離基を基質に導入し円滑な1の発生を計画している。さらに分子内にアミノ基を有する基質を合成しα,β-不飽和チオラクタムおよびα,β-不飽和セレノラクタムの新規合成法の確立を検討している。
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