1997 Fiscal Year Annual Research Report
新規2炭素基供与型14族有機反応剤の開発と炭素基の活性化の立体化学的要因の解明
Project/Area Number |
09750941
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
普神 敬悟 群馬大学, 工学部, 助手 (90202283)
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Keywords | 5配位スズ化合物 / 渡環配位 / 有機スズ / パラジウム触媒 / 交差縮合 / ハロゲン化アリール |
Research Abstract |
N-ベンジルジアリルアミンのヒドロジルコン化で生成する有機ジルコニウム種に、アリールあるいはアルキルトリアルキルスズを作用させることにより、スズ原子上に塩素と炭素基を1個ずつ有する1-アザ-5-スタンナシクロオクタン誘導体が収率よく合成できることが明らかとなった。炭素基がp-トリル基のもの(化合物1とする)とn-ブチル基のものについてX-線結晶構造解析を行った結果、いずれの化合物においても、1-位の窒素が5-位のスズに渡環配位しているためにスズは5配位となって三方両雄構造を取っていることがわかった。さらに、スズ上の塩素はアピカル位、また、炭素基はエクァトリアル位を立体選択的に占めることが明らかとなった。化合物1に臭化p-トリルマグネシウムを作用させると、スズ上にp-トリル基を2個有する1-アザ-5-スタンナシクロオクタン誘導体(化合物2とする)に変換できた。化合物1および化合物2、さらにこれらの対照群として合成した、ジ(p-トリル)ジブチルスズおよびp-トリルジブチルスズクロリドとについて、パラジウム触媒を用いたハロゲン化アリールとの交差縮合反応における炭素基供与能を比較したところ、分子内窒素の渡環配位に起因すると考えられる、供与能の明らかな向上が、化合物1および化合物2について観察された。 一方、環構造の反転の起こらない化合物として1-アザ-5-スタンナビシクロ[6.4.0]ドデカン誘導体を今回設計したが、N-ベンジルジアリルアミンの代わりに1-アリル-2-ビニルピペリジンを原料とすればこの骨格を合成できることが明かとなった。スズ上にn-ブチル基と塩素を有するものについてX-線結晶構造解析を行った結果、この化合物についても分子内窒素の渡環配位とスズの5配位三方両雄錐構造、および、塩素の選択的アピカル位配置とn-ブチル基のエクアトリアル位配置が確認できた。
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[Publications] Harayama, Kimura, Fugami, Tamaru 他: "Aromatic Allylsulfenylation with in Situ Generated Allylic Thiols under the Heck Conditions." Bull.Chem.Soc.Jpn.70巻2号. 445-456 (1997)
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[Publications] Harayama, Kimura, Fugami, Tamura 他: "Palladium(II)-Catalyzed Intramolecular Aminocarbonylation of endo-Carbamates under Wacker-Type Conditions." J.Org.Chem.62巻7号. 2113-2122 (1997)
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[Publications] Tamura, Harayama, Fugami, Kimura 他: "Chemo-,Regio-and Stereoselective Diels-Alder Reaction of Ambident Dienophilic Monothiomaleimide." Liebigs Ann./Recueil. 5号. 907-923 (1997)
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[Publications] Fugami, Hagiwara, Okeda, and Kosugi: "Novel Spiroaceal Aynhesis via Hydroboration of Alkynediols." Chem.Lett.1号. 81-82 (1997)