1997 Fiscal Year Annual Research Report
活性炭素種のエナンチオ選択的調整と不斉合成への展開
Project/Area Number |
09750943
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
友岡 克彦 東京工業大学, 工学部, 助教授 (70207629)
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Keywords | エナンチオ制御 / 不斉配位剤 / カルボアニオン反応 / カルボアニオン環化反応 / [2,3]-Wittig転位 / [1,2]-Wittig転位 |
Research Abstract |
本研究では、最も有用な炭素-炭素結合生成反応であるカルボアニオン反応に関して光学活性な配位剤を用いることによりエナンチオ制御を行うことを目的としている。 本年度はまず、個々のカルボアニン反応のエナンチオ制御に最適な不斉配位剤/塩基系を見出すことを目的として種々検討した。 カルボアニオン反応としては、カルボアニオン環化反応、[2,3]-Wittig転位、および[1,2]-Wittig転位を対象として選び、種々の不斉配位剤共存下での反応を行い、エナンチオ選択性について精査した。その結果、3-ブテニルエーテル系のカルボアニオン環化については(-)-スパルテインとS-BuLiを組合せ用いることにより完壁なエナンチオ制御を達成できることを見出した。一方、[2,3]-Wittig転位や[1,2]-Wittig転位に関しては、(-)-スパルテインでは低いエナンチオ選択性しか得られなかったが、(s)-バリノール由来の光学活性ビスオキサゾリンとs-もしくはt-BuLiを組合せ用いた場合に最高のエナンチオ選択性が発現することがわかった。特にカルボアニオン環化、[1,2]-Wittig転位についてはエナンチオ制御の最初の成功例である。 本研究結果は、アキラルな基質から光学活性生成物を一挙に合成できる効率的不斉合成法を開発したことになるとともに、「カルボアニオン種の動的立体化学」に関する新知見を得たことを意味している。 次年度は、本年度の結果に関する機構研究(特に、エナンチオ選択性発現のメカニズム解明)を行うとともに、[1,2]-Wittig転位の反応中間体であるキラル・ラジカル種を活用したラジカル反応のエナンチオ制御を検討する計画である。
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[Publications] 友岡 克彦 他21名: "The Pinene Path to Taxanes.5. Stereocontrolled Synthesis of a Versatile Taxane Precursor" J.Am.Chem.Soc.119. 2755-2756 (1997)
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[Publications] 友岡 克彦 他2名: "Wittig Rearrangement of α-(Propargyloxy) -alkyllithiums : Periselectivity and Steric Course at the Lithium-bearing Terminus" Synlett. 1045-1049 (1997)
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[Publications] 友岡 克彦 他2名: "Cyclization of Enantio-Enriched α-(Homoallyloxy)Alkyllithiums : Evidence for Retention of Configuration at The Carbanion Center" Tetrahedron Lett.38. 8939-8942 (1997)