1998 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ素をスピロ中心にもつ光学活性スピロ化合物の触媒的不斉合成
Project/Area Number |
09750950
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山口 茂弘 京都大学, 化学研究所, 助手 (60260618)
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Keywords | スピロ化合物 / スピロシラン / 触媒的不斉合成 / 分子内ヒドロシリル化 / 自己集合 |
Research Abstract |
本研究は,ケイ素をスピロ中心にもつ軸不斉スピロ化合物「スピロシラン」の触媒的不斉合成法の開発を目的とする.すなわち,分子内に二つのオレフィンと二つのSi-H結合をもつビス(アルケニル)ジヒドロシランを出発原料として用いたRh(I)錯体を触媒とする二段階不斉分子内ヒドロシリル化により光学活性スピロ骨格の構築を行う.いくつかのタイプの基質を用いて検討し,不斉配位子および触媒系,環員数などの諸要因について統括的に評価することにより,スピロシランの不斉合成法の確立を目指すものである.本年度は,以下の2点について検討した. 1. 光学活性2,5-ジチエニルシロールの合成の試み 基質として2,5-ジチエニルシロールを基本骨格としてもつビス(アルケニル)ジヒドロシランを設計した.これを原料とする分子内ヒドロシリル化により,2,5-ジチエニルシロールのπ共役平面がキラルに制御されたπ電子系の構築について検討を行い,そのモデル化合物となる新規シロールπ電子系の合成に成功した.しかし,不斉配位子を用いた触媒的不斉合成の達成には至らなかった.今後さらに検討を続ける予定である. 2. 光学活性スピロシランの応用:自己集合によるキラルナノ構造の構築 すでに触媒的不斉合成を達成しているチオフェン環が縮環した5-シラスピロ[4.4]ノナン誘導体(以下これをスピロシランとよぶ)を新規直交型構成素子として用い,自己集合を利用したキラルナノ組織体の構築を図った.5-シラスピロ[4.4]ノナン誘導体の官能基化によりスピロシランジカルボン酸を合成した.この化合物が結晶構造において,光学活性ならせん構造をもつ1次元ネットワークを形成することを明らかにした.これは他のC_2対称軸不斉スピロ化合物のジカルボン酸誘導体にはみられない現象である.その容易ならせん形成の原因について考察した.
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Research Products
(1 results)