1997 Fiscal Year Annual Research Report
紫外線吸収剤を用いたリビングラジカル重合をベースとする高分子設計
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09750975
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉田 絵里 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助手 (60263175)
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Keywords | TEMPO / 重合変換 / リビングラジカル重合 / ブロック共重合体 / 対ラジカル / リビングカチオン重合 / リビングアニオン重合 / 重縮合 |
Research Abstract |
本年度は、構造が高度に制御された高分子のデザインと合成を目的に、ニトロキシルラジカルの1つである2,2,6,6-tetramethyl-piperidine-1-oxyl(以下TEMPOと略す)の誘導体を重合モードの変換剤に用いて、重合様式の異なるポリマー鎖同士のブロック共重合体の精密合成を行った。その内容は、1)リビングアニオン重合からリビングラジカル重合への変換反応を利用したブロック共重合体の合成、2)リビングカチオン重合からリビングラジカル重合への変換反応によるブロック共重合体の合成、3)重縮合からリビングラジカル重合への変換反応を利用したブロック共重合体の合成、である。1)では、4位に活性なアルミニウムアルコキシドを有するTEMPOをε-カプロラクトンのリビングアニオン重合の開始剤に用いて、開始末端にTEMPOを有するポリマーを合成した。2)では、4位にアルコキシ基を有するTEMPOを、両末端生長型のポリ(テトラヒドロフラン)のリビングカチオンポリマーに対する末端停止剤として用い、両末端にTEMPOを持つポリ(テトラヒドロフラン)を、3)では、両末端にイソシアナ-ト基を持つポリ(エチレンアジペ-ト)と4-ヒドロキシ-TEMPOとの反応により、末端-TEMPO化ポリ(エチレンアジペ-ト)を定量的に合成した。このようにして得られたポリマーは、いずれもスチレンのリビングラジカル重合における効率のよい対ラジカルとして働き、分子量分布の狭いジブロック、あるいはトリブロック共重合体を定量的に与えた。特に、1)および2)で得られた共重合体は、そのフィルムの透過型電子顕微鏡観察からミクロ層分離構造が確認された。これらの結果から、本研究で得られたブロック共重合体は、それぞれの重合様式で得られたポリマーセグメントの性質を合わせ持つ新規な高分子材料として今後期待される。
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[Publications] 長川 祐輔: "TEMPO誘導体を開始剤とするε-カプロラクトンのアニオン重合と生成ポリマーのリビングラジカル重合への応用" Polymer Preprints,Japan. 46(2). 143 (1997)
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[Publications] 吉田 絵里: "末端にTEMPOを有するポリ(ε-カプロラクトン)の合成とそれを対ラジカルとするスチレンのリビングラジカル重合" Polymer Preprints,Japan. 46(8). 1532-1533 (1997)
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[Publications] Eri Yoshida: "Synthesis of Poly(ε-caprolactone) with a Stable Nitroxyl Radical at the Chain End,and Application of the Polymer to Living Radical Polymerization" 6th SPSJ International Polymer Conference,Preprints. 238 (1997)
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[Publications] Eri Yoshida: "Synthesis of Poly(ε-caprolactone) with a Stable Nitroxyl Radical as an End-Functional Group,and Its Application to a Counter Radical for Living Radical" Macromolecules. (印刷中). (1998)
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[Publications] 吉田 絵里: "両末端にTEMPOを有するポリマーの合成と生成ポリマーを対ラジカルに用いたリビングラジカル重合によるA-B-A型ブロック共重合体の合成" Polymer Preprints,Japan. 46(2). 143 (1997)
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[Publications] 吉田 絵里: "TEMPOを用いたリビングラジカル重合によるTHFとスチレンのブロック共重合体の合成と生成ポリマーの性質" Polymer Preprints,Japan. 46(8). 1530-1531 (1997)
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[Publications] 中村 将司: "両末端にTEMPOを有するポリエステルの合成とそれを対ラジカルとするリビングラジカル重合" Polymer Preprints,Japan. 47(発表予定). (1998)