1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09750983
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池原 飛之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (90242015)
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Keywords | ポリビニルアルコール / 重水 / ゲル化 / パルス法NMR / 架橋点 / 微結晶 / スピンスピン緩和時間 / スピン拡散 |
Research Abstract |
今年度は、前年度に引き続き、ゲル化試料としてポリビニルアルコール(PVA)、溶媒として重水をを用い、^1Hパルス法核磁気共鳴(NMR)でそのゲル化挙動を解析した。試料の準備方法も去年と同様に、重水溶媒への溶解、溶媒の蒸発を2、3回繰り返し、PVAの持つOH基のHをDにして測定を行った。以下に今年度得られた知見を示す。 これらの結果は、前年度の結果と併せて現在論文準備中である。 1. 前年度求めたPVAゲルの相図の条件に不十分な点があったため、その相図を引き続き決定し直した。そのときのゲル化時間も併せて測定した。それに基づきパルス法NMR測定の測定条件を決定した。 2. 前年度同様に、スピンスピン緩和時間(T_2)、スピン格子緩和時間(T_1)と回転系でのスピン格子緩和時間(T_<1p>)の測定を継続して行った。T_<1p>測定では、分離できた成分数がT_2測定の場合と同じだったが、T_1測定では成分数が少なかった。つまり、T_2、T_<1p>測定では架橋点として働く微結晶成分が検出され、T_1測定では微結晶成分が検出されなかった。これはスピン拡散に起因するもので、微結晶サイズが数10から100nm程度であることを示している。今年度は、微結晶のサイズをより定量的に見積もるため、Goldman-Shenパルス系列を用いて微結晶ドメインのサイズを見積もった。それによると、微結晶サイズはゲル化時間によらず20nmで一定であった。このことと、微結晶の分率がゲル化時間と共に増加していることから、ゲル化の進行と共に一定の大きさの微結晶の数が増加していることが示された。
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