1997 Fiscal Year Annual Research Report
特殊環境場でのポリマーブレンドの新規モルホロジー制御-対流による自己組織化
Project/Area Number |
09750993
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
櫻井 伸一 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (90215682)
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Keywords | ポリマーブレンド / モルホロジー制御 / ポリマーアロイ / パターン形成 / 温度勾配 / 相分離 / 対流 / 非線形現象 |
Research Abstract |
本研究では、ポリマーブレンドの新規なモルホロジーを創成するために、ポリマーブレンドの相分離過程に与える温度勾配の効果に注目し、相分離と対流とのカップリング機構の基礎的解明を目的として研究を行なった。具体的には、高温相分離型ポリスチレン/ポリブタジエンブレンドの希薄溶液(ポリマー濃度4%)に温度勾配を付与して、相分離過程の位相差顕微鏡観察を行なった。組成50/50(重量比)のブレンド試料に、その相分離温度が上下温度のちょうど中間にくるように温度勾配を付与した。ここで、試料底面は相分離温度以上(52℃)、試料上面は相分離温度以下(42℃)に設定し、上下に温度差10℃を付与した(相分離温度は47℃)。その結果、対流による多角形セルの内部に相分離によるドロップレットが形成された。この温度勾配下での相分離過程では、従来の相分離過程には見られなかった特徴を多々含んでいた。相分離によって形成されたドロップレットの時間発展を調べたところ、ドルップレットサイズが時間のべき乗に比例して増大する結果が得られ、その指数はほぼ2/3であった。従来の相分離過程では指数1/3(界面運動を伴わない場合)、あるいは1(界面運動を伴う場合)が報告されており、本研究で明らかとなった指数2/3は、温度勾配下での相分離過程を特徴づける。この成長則は、非常に速い界面運動を伴う場合に理論的に予測されているので、指数2/3の成長則は、対流の寄与によって界面運動が促進された結果であると結論した。また、温度勾配の付与する度合を種々変化させてさらなる検討を行なった結果、温度勾配によって濃度勾配が誘発される現象(Soret効果)が、対流パターン形成に支配的である可能性が示唆された。
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