1998 Fiscal Year Annual Research Report
電気推進機の排気プラズマと通信電波の干渉に関する研究
Project/Area Number |
09751012
|
Research Institution | Institute of Space and Astronautical Science |
Principal Investigator |
國中 均 宇宙科学研究所, 宇宙推進・電気推進工学部門, 助手 (60234465)
|
Keywords | 電気推進 / 時間領域差分法 / プラズマビーム / 宇宙通信波 / 電磁干渉 / 電波減衰 / 位相変化 |
Research Abstract |
1 研究の目的 電気推進機は化学推進と比較して燃料消費量が少なく、実用衛星のみならず科学探査宇宙機においてもその有用性が実証されようとしている。しかし、これを宇宙機に搭載して実用に供するにはその他の宇宙機器との適合性を評価し、必要があれば改善しなくてはならない。本申請は、電気推進から放射される排気プラズマとマイクロ波電磁波の干渉を実験的および数値解析的に調査研究する。 2 実験的研究 初年度は電気推進の一種であるイオンスラスタの排出するプラズマビームにマイクロ波を透過させて、この時発生する電波の減衰および位相変化を測定したが、後述される数値計算の予測と同じく優位な干渉現象は検知されなかった。本年度は、別の電気推進機DCアークジェットの噴射ビームに1〜2GHz(S帯マイクロ波)と7〜8GHz(X帯マイクロ波)のマイクロ波を透過させ干渉効果の計測、および各種プラズマプローブを挿入して電子温度、プラズマ密度を測定した。低周波においては大きな減衰と位相変化を捕らえることができた。 3 数値解析的研究 地上実験では発生出来るプラズマや使用できる実験空間、マイクロ波周波数に制限があり、宇宙で起こるであろう状況を完全には模擬することはできない。そこで実験室実験を補完するために数値解析を行った。ここでは「時間領域差分法」を用いて2次元解析を行った。先に実施した実験結果と比較するためにプラズマパラメータを測定された値と一致させて数値シュミレーションを行い、実験値と比較し良い一致を見た。次に地上実験を離れ大規模な宇宙空間の伝搬を想定した領域でのプラズマ干渉の数値解析を試みた。X帯マイクロ波領域ではイオンスラスタ、DCアークジェットいずれも優位な干渉は発生しないことが、計算、実験双方から結論できる。一方S帯ではDCアークジェットの噴射ビームの濃密な領域にてある程度の干渉が見受けられることが分かった。
|
-
[Publications] 國中 均: "無電極マイクロ波放電式イオンスラスタの研究・開発" 日本航空宇宙学会誌. 46・530. 174-180 (1998)
-
[Publications] 國中 均: "電気推進機のプルームによる通信波への電磁界干渉" 宇宙科学研究所輸送系シンポジュウム. (1998)
-
[Publications] 國中 均: "イオンエンジンのプルームによる通信波への電磁界干渉" 宇宙科学技術連合講演会. 41. (1997)
-
[Publications] H.Kuninaka: "Development and Demonstration of a Cathodeless ECR Ion Thruster" Journal of Propulsion and Power. Vol.14 No.6. 1022-1026 (1998)
-
[Publications] H.Kuninaka: "Interaction between Plasma Plume of Electric Propulsion and Spacecraft Communication" International Symp.on Space Tech.& Science. 21. 98-a-2-18 (1998)
-
[Publications] 國中 均: "電気推進機のプルームによる通信波への電磁界干渉" 宇宙科学研究所輸送系シンポジュウム. (1999)