1997 Fiscal Year Annual Research Report
非平衡高エンタルピ気流における輻射のモデル化と実験的研究
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09751013
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Research Institution | Institute of Space and Astronautical Science |
Principal Investigator |
藤田 和央 宇宙科学研究所, 宇宙輸送研究系, 助手 (90281584)
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Keywords | 非平衡空気力学 / 衝撃波 / 輻射 / 分光 |
Research Abstract |
本年度では数値計算的な方法として,高エンタルピ気体からの輻射のモデル化を行った.ここでは前年より開発が進められてきた解析コードSPRADIANのデータベースを更新し,より複雑な物理現象を取り込むと同時に,実験結果を解析して温度情報など定性的な物理量を計算できる機能を付加し,実験をバックアップする環境を準備した.実験においては,自由ピストン二段隔膜衝撃波菅を用いて実験を行った.昨年度開発されたイメージング分光法に加え,本年度は新たに高速ストリークカメラを分光に接続し,高解像度の定点時間分光イメージを取得する実験システムを開発した.このシステムを用いて,超高速衝撃波後方の強い非平衡領域の物理量の定量的な測定を試みた.本年度はその手法の確立を目標として,まず熱化学過程と発光機構が比較的単純で良く理解されているアルゴンを試験気体として,原子の線スペクトルイメージを取得し,電子励起準位のポピュレーションを決定し,その非平衡度を観察した.その結果,衝撃波の極近傍では電子励起は強い非平衡にあり,原子は高い励起準位にほとんど励起されないが,衝撃波の後方では電子励起は平衡に近付くことが確認された.この電子励起平衡領域の電子温度を線スペクトル強度比法により決定した結果,電子励起温度は接触面に至る電子励起平衡領域でほぼ一定で約18,000Kをしめした.これは解析による結果と良く一致し,本手法による電子励起温度決定法の妥当性が確認された.今後は,目標である窒素原子や酸素原子の電子励起ポピュレーションを決定し,衝撃波背後の高温空気の非平衡現象を調べるとともに,電子励起温度を取得し,熱化学モデルの開発及び検証を行う予定である.
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