1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09751023
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Research Institution | Yuge National College of Maritime Technology |
Principal Investigator |
矢野 和昭 弓削商船高等専門学校, 情報工学科, 助手 (50259959)
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Keywords | 音声指令 / 輻輳海域 / 運航支援システム / 内航近代化船 / 一人当直 |
Research Abstract |
航海の分野では、″船舶をいかに低コストで安全に運行させるか″が研究されている。低コストにするためには、乗組員の定員を減らさざる終えない。しかし、定員が減ることによって、船舶の安全性が損なわれてしまう問題が上がってくる。 船舶運航の安全性は、複数の乗組員で作業を分担し、一人当たりの作業量を軽減することで確保されている。 現在、内航近代化船は、輻輳海域を既存の運航支援システムによって三人当直(船長、操舵士、レーダ監視者)で行えるようになっている。さらに、一人当直(船長)で行えるように研究が進められている。そのためには、見張りを専念させるために、音声で操縦するということが必要になってくる。 まず、人間の持つ音声認識のメカニズムを調査した。耳に達した音声は耳介から入り、外耳道を通って鼓膜を振動させ、それが3つの耳小骨に伝わり、内耳に達することによって、多チャンネルの神経インパルスに変換される。神経インパルスは聴覚神経系によって、信号処理されつつ複数の中継点を経て、脳に伝達される。途中、言語の知覚に役立つような処理がある程度行われるものの、メッセージの理解は、伝えられた音声情報と、視覚情報や受信者がすでにもっている言語や話題に関する知識を付き合わせて高次中枢で行われる。 さらに、マイクに向かって自然に話すだけで、その言葉を文章として入力したり、アプリケ-ョンを起動したりすることができるIBMの日本語音声認識プログラムで研究を行った。 一般的な文章においては、10回程度繰り返し音声入力するとほとんど認識できる。IMO標準航海用語においては、学習させることにより誤認識はかなり減った。しかし、1度認識できていても、次に音声入力した時に認識できないことがよくある。(エンロール後であっても『テキストの修正』時に正しく認識できた語が、次に音声入力すると誤認識である。)これは、一般的な文章においても言えることである。 マイクの位置により認識率が悪くなることもある。また、160cm離れたところで話し声がしていても、認識率は悪くなる。 これらのことにより使用環境、文体、語彙、発声の明瞭度、離散発声の仕方によって認識率に差が生じ、誤認識が含まれることがあるという問題点がでてきた。
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