1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09751032
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福井 勝則 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (70251361)
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Keywords | 岩石 / 岩盤 / 引張応力 / 地下構造物 / 破壊過程 / コンプライアンス / 非弾性歪み / 除荷・載荷試験 |
Research Abstract |
従来より大規模でかつ複雑な形状の地下構造物を建設した場合には、その一部に引張応力が作用するおそれがある.その地下構造物を安全に建設するためには,岩石の引張強度だけでなく変形特性,特に破壊過程での特性が重要である.従来からこのような認識はあったものの,引張応力下での変形挙動を調べることは実験的に非常に難しく,現状ではその特性はほとんどわかっていない. そこで本研究では,岩石の引張破壊過程での構成則の構築を目標として研究に着手した.その手法としては,1)実験的に破壊過程での変形特性を求める,2)その結果に基づいて構成則を構築する,の2段階に分けることができる.本年度は,まず実験的検討を重きにおいて,引張試験の途中で除荷・載荷を繰り返して,破壊過程におけるコンプライアンスの変化及び,非弾性歪みの変化を調べた.まず,実験装置の検討を行った.除荷・載荷時に応力-歪み関係にヒステリシスが生じないように,保有していたサーボ試験機の載荷部を改良した.次に,過去の研究実績から,岩石の種類からこの破壊機構に若干の変化があると判断し,実験に用いる岩石種類を選別した.その岩石を用いて除荷・載荷試験を行った.その結果,強度破壊点以前から,すでにコンプライアンスおよび非弾性歪みは徐々に変化しており,強度破壊点では初期のコンプライアンスの1.5〜2倍程度まで増加していた.強度破壊点以降では,応力の低下によってコンプライアンスはさらに増大傾向が見られ,亀裂が進展している状態を定量的に求めた.非弾性歪みもコンプライアンスと明瞭な関係を保ちつつ増加していることも判明した.
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