1997 Fiscal Year Annual Research Report
晶析逆抽出法による微粒子の製造とその形態制御への超音波の利用
Project/Area Number |
09751033
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
新苗 正和 京都大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50228128)
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Keywords | 晶析逆抽出 / 微粒子 / シュウ酸サマリウム / 形態制御 |
Research Abstract |
生成したシュウ酸サマリウム(Sm_2(C_2O_4)_3・10H_2O粒子のストークス径は超音波照射時間とともに大きくなり、また、粒度分布曲線の傾斜が緩やかになることから、照射時間の増加とともに粒度分布が多分散になることが分かった。これは粒子の成長と同時に核の発生が起こるためと考えられる。次に、シュウ酸サマトリウムの粒度分布に与える逆抽出水中のシュウ酸濃度の影響を検討した。その結果、シュウ酸濃度の増加とともに粒子径が小さくなる傾向を示したが、シュウ酸濃度が初期有機相中Sm(III)濃度の2.5倍モル当量以上になるとほとんど変化しないことが分かった。また、有機相中のSm(III)濃度の増加とともに粒子径は小さくなり、また、単分散に近づいていくことが分かった。さらに、逆抽出水中の塩酸濃度の増加とともに粒子径が大きくなること、また、超音波出力の増加とともに粒子径が小さくなることが分かった。次に、晶析速度と50%積算ふるい下粒子径(重量基準)の関係を検討した結果、晶析速度が速いほど微細な粒子を生成する傾向にあることが分かった。しかし、逆抽出水に塩酸を添加した場合、晶析速度が促進されるにも関わらず、その粒子径が大きくなったことは、塩酸濃度の増加によるシュウ酸イオン濃度の減少によりシュウ酸サマリウムの核発生域が水相/有機相界面近傍以外にバルク相全体に広がることにより、過飽和度が小さくなったことがその原因と考えられる。 次に、生成したシュウ酸サマリウムの計上について簡単に報告する。超音波出力および有機相中Sm(III)濃度の増加は粒子形状を板状から針状にさらにはより微細な不規則形状な粒子へと変化させる。逆抽出水中のシュウ酸濃度は粒子形状にほとんど影響しなかった。一方、逆抽出水に塩酸を添加することにより幅広で厚みのある板状粒子を生成することが分かった。これは先にも述べた塩酸添加によるシュウ酸イオン濃度の減少により核発生域が水相/有機相界面近傍以外にバルク相全体に広がることにより、結果的に過飽和度が減少した影響と考えられる。
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