1997 Fiscal Year Annual Research Report
キンギョソウ・トランスポゾンTam3の温度依存性転移機構の分子遺伝学的解析
Project/Area Number |
09760002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
貴島 祐治 北海道大学, 農学部, 講師 (60192556)
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Keywords | トランスポゾン / Tam3 / キンギョソウ / 転移 / 温度依存性 |
Research Abstract |
キンギョソウの2つの系統HAM2とHAM5はともにCHSをコードする色素合成遺伝子のプロモータにトランスポゾンTam3を配置した対立遺伝子をホモ接合型で有している。Tam3は高温(25℃)に対して低温(15℃)での切り出し頻度が1000倍高い。従って、低温では両者ともに斑入り形質を現す。一方、高温のHAM2は花弁に赤いバックグラウンド色が観察されるが、HAM5は白色花弁である。今回、この高温での花色発現の違いとTam3の温度依存性転移との関連性を遺伝学的および分子生物学的に調査した。 HAM2とHAM5の温度によるCHSlocusのTam3の切り出しを調べると、両者とも25℃では切り出しが起こらず、15℃で切り出しが起こっていた。従って、バックグラウンドに関わる因子はTam3の転移挙動とは無関係であると考えられた。HAM2とHAM5を交配するとF1は中間型の形質を示した。F2の表現型は、HAM2:中間型:HAM5が1:2:1の比に分離した。従ってバックグラウンド色は1因子に起因することが示唆された。CHS欠損の白花系統HAM9とHAM2を交配し、F2の分離集団の表現型とTam3の関係を調べたところ、Tam3とバックグラウンドの表現型は独立していた。このことから、制御因子はTam3と独立に存在することが判った。さらに、HAM2とHAM5の25℃でのCHS遺伝子の転写量を調べると、HAM2の転写量が顕著に多く、Tam3の挿入位置及び構造に差はみられず、野生型とHAM2の高温におけるCHS遺伝子の転写開始点に違いはなかった。従って、Tam3に作用するトランス因子がCHSの発現を制御していると考えられた。以上の結果からHAM2における高温での花色発現は、CHSプロモータ部位に挿入したTam3に結合するトランス因子が、花弁での色素発現に関与していると推定できた。
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[Publications] H.Nagano: "Consturuction of a 300-kb BAC conting containing waxy locus in Japonica rice" Rice Genetics Newsletter. (印刷中).
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[Publications] L.Wu: "Identification of the DNA fragments located in the vicinity of waxy locus responsible for gamate eliminatator" Rice Genetics Newsletter. (印刷中).
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[Publications] Y.Kishima: "Immobilized copies with a nearly intact structure of the transposon Tam3 in Antirrhinum majus : implications for the cis-element related to the transposition." Theoretical and Applied Genetics. 95. 1246-1251 (1997)
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[Publications] J.Aii: "Expansion of the IR in the chloroplast genomes of buckwheat species is due to incorporation of SSC sequence that could be mediated by an inrersion" Current Genetics. 31. 276-279 (1997)