1997 Fiscal Year Annual Research Report
根の特性からみた陸稲の中性・アルカリ性土壌への適応
Project/Area Number |
09760014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 淳 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (60221727)
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Keywords | 陸稲 / Oryza sativa L. / 根系 / アルカリ土壌 / 石灰 |
Research Abstract |
1997年度は、本研究の初年度として、(1)圃場における石灰過剰施用に対するイネの耐性の品種間差に関する実験、を行なうとともに、(2)画像解析法を用いた根分泌物のpH測定法の確立を目指した。 (1)圃場実験:東京大学農学部附属多摩農場の畑において、japonica,indica,tropical japonicaの陸水稲、約30品種を栽培して、小麦栽培並の石灰を施用して、生育を調査した。草丈やSPAD値で評価した石灰耐性は、穂重型のtropical japonicaの陸稲品種でやや優っていた。これらの品種は深根性であり、石灰による土壌pH上昇の少ない土壌深層部での鉄吸収が容易であることが、一因と考えられた。また、これらの品種は根が太いことから、根からの酸性分泌物が多い可能性もあり、1998年度には後述の画像解析法で確認したいと考えている。 (2)画像解析法の確立:本研究の備品費により購入したパーソナルコンピューターの一式にイメージスキャナーで取り込んだカラー画像の色情報を処理するためのプログラムを組み込んだ。これにより、イネの根を静置したpH指示薬入り寒天培地の色の変化を定量的に判別し、品種間の比較や、根の部位別のpHの違いを評価可能にした。 以上の成果については、1998年度に追試験の上で、日本作物学会、根研究会などに発表の予定である。 このほか、研究のための背景となる情報を収集するため、北関東の農家における聴き取りや圃場の実態の簡単な調査を行なった。また、小型ポットでの栽培による、石灰施用に対するイネ品種の反応を調査したが、充分な成果が得られていない。1998年度に再調査の予定である。
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