1997 Fiscal Year Annual Research Report
カンキツ果実の各器官における糖代謝酵素活性の品種。糸統間差異と糖集積
Project/Area Number |
09760026
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
向井 啓雄 静岡大学, 農学部, 助手 (70201803)
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Keywords | 糖集積 |
Research Abstract |
ウンシュウミカン3系統を実験に用いた.崎久保早生(極早生品種)、興津早生(早生品種)、青島温州(晩生品種)の果実を7月からほぼ2週間毎にサンプリングして,果実各器官の糖代謝酵素活性を測定した。 最も特徴的であったのはへたのinvertase活性であった。3系統とも夏季に高い活性であったが、秋(9月)に急激に低下した。その後再び上昇に転じた。新鮮重当たりの活性でみると、青島温州が低かったが、へた一個当たりの活性は3品種ともほぼ同じ様な値であり,変化の傾向も系統間の差は認められなかった。9月は果実が生長期から成熟期に転換する時期であり代謝転換期と考えられる。本研究の結果はそれを裏付けるものとなる可能性がある。へたにおける高い糖代謝酵素活性からへたが果実のsink力を調節する可能性が考えられるが,果実の成熟にも関わりがあることが示唆された。 維管束のinvertase活性は低下傾向であったが、崎久保早生と青島温州では9月末から10月初にかけて一旦上昇することが認められた。これも代謝転換と何らかの関係があるのかもしれないが、興津早生でそのような傾向は認められなかった。 さじょうにおけるinvertase活性はすべての系統とも低下傾向で一致しており、活性にも著しい差異は認められなかった。さじょうにおけるsucrose合成酵素活性はすべての系統とも7月から9月にかけて低下傾向にあった。崎久保早生はその後上昇に転じたが、他の2系統では低いままであった。崎久保早生と他の2系統で糖の蓄積に大きな変化は認められず、この点は疑問が残った。
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