1997 Fiscal Year Annual Research Report
カンキツ類の細胞及び遺伝子工学的手法による低温耐性向上に関する研究
Project/Area Number |
09760037
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Research Institution | Kyushu Tokai University |
Principal Investigator |
國武 久登 九州東海大学, 農学部, 講師 (80289628)
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Keywords | カンキツ / 低温耐性 / 半数体 / プロトプラスト / 定数性育種 / 細胞融合 / 遺伝子組換え / アグロバクテリウム |
Research Abstract |
1.トリエン脂肪酸含量に及ぼす遺伝子型や葉のステージの影響 カンキツ類は、トリエン脂肪酸の一種であるへキサデカトリエン酸(16:3)がなく、リノレン酸(18:3)が生成されていることから、真核型経路を有するイネやコムギと同様の18:3植物であることが明らかとなった。リノレン酸含量は、葉の成長とともに増加する傾向にあり、倍数体とは無関係であった。遺伝子型との関係において、低温耐性が高いとされているユズやカラタチで含量が多く、低いとされているレモンなどで少なかった。 2.半数性ゲノム導入によるトリエン脂肪酸含量の解析 1)交配による単胚性品種への半数性ゲノムの導入 晩白柚二倍体×ユズ四倍体を行うことにより、分析した139個体中、二倍体4個体、三倍体78個体及び四倍体57個体が得られた。これらの予期しない倍数体の発生には倍加した雌性配偶子が関与していると考えられ、三倍体は晩白柚の半数性ゲノムとユズのゲノムが2セット含まれ、、四倍体は両親のゲノムが2セットずつ含まれていると推測される。次年度、このトリエン脂肪酸含量について解析する。 2)非対称融合による多胚性品種への半数性ゲノムの導入 バレンシアオレンジの胚珠培養を行うことにより、植物体再生能の高いカルスを得た。さらに、そのカルスからプロトプラストを単離することにより植物体再生システムを確立した。次年度、半数性プロトプラストとの細胞融合を行う予定である。 3.アグロバクテリウムによるω-3デサチュラーゼ遺伝子の導入 カルスヘのFAD7遺伝子の導入を行ったが、カナマイシンでの選抜が困難であり、形質転換体の作出はできなかった。現在、カラタチ胚軸への導入を検討している。
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