1998 Fiscal Year Annual Research Report
キュウリモザイクウイルスレプリコン導入タバコのウイルス抵抗性機構の解明
Project/Area Number |
09760041
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 匡 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (40282694)
|
Keywords | キュウリモザイクウイルス / 形質転換タバコ / 抵抗性 |
Research Abstract |
昨年度,倍加してホモに固定したキュウリモザイクウイルス(CMV)レプリコン導入タバコ(V1V2)の作製およびレプリコン-外被タンパク質遺伝子導入タバコ(VlV2V4)の作製を報告した。今年度は,両タバコの導入遺伝子の発現および,プロトプラストレベル,個体レベルでの抵抗性検定を行った。 1. 導入遺伝子の発現解析;常法により形質転換タバコからRNAを抽出し,ノーザンプロット法によりV1V2およびVlV2V4の導入遺伝子の発現を解析した。その結果,VlV2では,RNA1とRNA2の発現が確認され,V1V2V4でも,RNAl,2,4の発現が確認された。VlV2とVIV2V4での,RNA1,2の発現レベルには差が見られなかった。 2. プロトプラストレベルでの抵抗性検定;1段階法によりVIV2,VIV2V4よりプロトプラストを調製し,CMVおよびタバコモザイクウイルス(TMV)を接種し,両ウイルスに対する1細胞での抵抗性検定を行った。その結果,VIV2,VIV2V4とも,TMVには感受性だが,CMVに対しては高い抵抗性を示した。なお,VIV2V4の交配親であるCMV外被タンパク質導入タバコ(V4)は,1細胞ではCMVに対して抵抗性がなかった。 3. 個体レベルでの抵抗性検定;V1V2V4の交配親であるV4はCMV粒子接種に対してある程度の抵抗性を示し,V1V2はCMV RNA接種に対して高い抵抗性を示したのに対し,V1V2V4は,CMV RNAに対する抵抗性がV1V2のそれよりも低くなった。このことより,RNA4の発現,あるいはRNA4から翻訳される外被タンパク質が,VIV2の抵抗性機構を弱めることが示唆された。この結果は,ウイルス遺伝子導入植物の抵抗性機構の解明の一助になることが期待される。
|
-
[Publications] Takeshita,M.,Suzuki,M.ら: "Involvement of cucumber mosaic cucumovirus RNA2 and RNA3 in viral systemic spread in radish plant." Archives of Virology. 143. 1109-1117 (1998)
-
[Publications] Masuta,C.,Suzuki,M.ら: "Evolution of a novel quadripartite hybrid virus by interspecific exchange and recombination betweenreplicase componentsof two related tripartite RNA viruses." Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 95. 10487-10492 (1998)