1998 Fiscal Year Annual Research Report
畑地における耕うん法の相違が雑草生態および土壌動物相に及ぼす影響
Project/Area Number |
09760045
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
山岸 主門 島根大学, 生物資源科学部, 助手 (00284026)
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Keywords | 不耕起 / 耕うん法 / 雑草 / 多年生雑草 / 砂丘畑 |
Research Abstract |
海浜砂丘地における,1988年から不耕起(NT),ロータリ耕(RT),プラウ耕(PT)の3種耕うん法で管理を継続した圃場を供試し,不耕起栽培圃場更新前後において雑草や土壌動物相の種類組成・バランスがどのように変化するのかを明らかにするために試験を行った(以下,雑草生態の結果を中心に述べる). 一斉耕うん処理(1996年夏)前のNT区のオオムギ地上部生育量はPT区の約84%であったが,処理後のNT区のクロタラリア,エンバクおよびソバでは各々120%,108%,125%と生育量はPT区に対して増加した.しかし処理後4作目のライコムギの地上部乾物重では両区に差はなくなり,更新による作物生育量の回復効果は消失した形となった.なお,葉面積指数は作物生育量と高い相関関係を示した.一方NT区の雑草地上部乾物重は,処理前後を通じて約230g/m^2を保ち,PT区に比べて常に高い値を示したが,その差は徐々に縮小した. 発生草種や全出現草種数は,全調査期間を通じてNT区とPT区で大きな差はなかったが,草種ごとの被度や優占度に相違がみられた.とくに多年生雑草の被度は,処理前後を通じてPT区は常に低値で推移したのに対して,NT区ではイヌムギが6%→0.4%に,ヨモギが20%→0.7%にともに大きく減少した. NT区の主な雑草の優占度変化に注目すると,まずネズミムギ等は処理前後でほぼ一定の値を維持した(一定型).これに対してイヌムギは徐々に,ヨモギは急激に優占度を減少させたが(下降型),その原因として栄養繁殖器官が耕うん処理により地表面に露出し,乾燥や温度変化により死滅したことが予想された.逆に風散布種子や自動的に種子をはじく仕掛けをもつカラスノエンドウ等は優占度が増えた(上昇型).このように雑草の生活型(生育型・繁殖型等)の違いが耕うん処理に伴う被度や優占度の大小に影響を及ぼすことが考えられた.
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