1997 Fiscal Year Annual Research Report
根圏微生物群集の根圏における生態的地位(ニッチェ)に着目した土壌病害の生物的防除
Project/Area Number |
09760055
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
豊田 剛己 名古屋大学, 農学部, 助手 (30262893)
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Keywords | 土壌病害 / 根圏 / 生態的地位 / 微生物群集 / 拮抗菌 / トマト / 生物的防除 |
Research Abstract |
現在我が国で最も被害の大きいトマト青枯病菌(Ralstoia solanacearum)およびその拮抗細菌として蛍光性pseudomonadsを取り上げ、これらモデル細菌の根圏への定着に関与する微生物群集を解明することが本研究の目的である。今年度得られた結果の概要を以下に示す。トマト青枯病菌に対する有効な拮抗細菌Pseudomonas fluorescens MelRC2Rif(リファンピシン耐性変異株)のトマト根面への定着に及ぼす微生物要因について検討した。トマト種子を各種処理した土壌懸濁液中で栽培した後、MelRC2Rifを接種し、根へのMelRC2Rifの定着の程度を比較した。MclRC2Rifのトマト根への定着は、無処理の土壌懸濁液で栽培した根で最も低く、無菌の根で最も高かった。土壌懸濁液に殺菌剤(ダコニール^R)を添加してもMelRC2Rifの根への定着に全く影響がなく、土壌糸状菌群はMelRC2Rifの根への定着にほとんど影響を及ぼさないと推察された。他方、抗生物質(リファンピシン)を添加した場合には、MelRC2Rifの定着は無菌栽培した根への定着と同程度であり、MelRC2Rifの根への定着を抑制する微生物は根へあらかじめ先住している細菌群集であると推察された。土壌をクロロホルム燻蒸(細菌数を1/3に、糸状菌数を1%以下に減少)あるいは風乾して(細菌数を1/2に、糸状菌数には影響せず)土壌細菌群集の一部を殺菌してもMelRC2Rifの根への定着は増大した。また、MelRC2RifへのVibrio fischeri由来の発光遺伝子の導入に成功し、CCDカメラを用いMelRC2Rifのトマト根への分布、そこでの活性の評価が可能となった。
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