1997 Fiscal Year Annual Research Report
オオムギ硝酸還元酵素アイソザイムの異なる機能発現制御機構の解明
Project/Area Number |
09760057
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
末吉 邦 神戸大学, 農学部, 助手 (10216278)
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Keywords | オオムギ / 硝酸還元酵素 / アイソザイム / 発現制御 |
Research Abstract |
「目的」オオムギには電子供与体としてNADHのみを利用するNADH-NRと、NADHとNADPHの両方を利用できるNAD(P)H-NR2つの硝酸還元酵素(NR)が存在する。しかし、硝酸還元におけるNRアイソザイムの機能分担については明確ではない。本年度は、アミノ酸(グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸およびアスパラギン)やその代謝産物(カルバミルリン酸)がNRアイソザイムの遺伝子発現に及ぼす影響の違いを明らかにしようとした。 「結果と考察」まず無窒素で育てたオオムギ幼植物(NR遺伝子の発現は不活性)に、上記のアミノ酸を10mMで与えて一定時間処理し、続いて5mM硝酸カリウムを供与した。その結果、硝酸イオンによる両NRアイソザイムmRNAの誘導蓄積は根において著しく抑えられた。その抑制効果はグルタミンとアスパラギンで顕著であった。しかしながら、アイソザイム間で抑制効果の差異は見られなかった。次に、予め5mM硝酸カリウムを含む培養液で生育させた幼植物(NR遺伝子の発現はすでに活性化)にグルタミン、アスパラギンおよびカルバミルリン酸(グルタミンの代謝産物の1つ)を10mMで与えたところ、両NRアイソザイムのmRNAはいずれの場合でも急減した。この時、両NRアイソザイムの活性は、mRNAの減少にやや遅れて失活し、NRタンパク質は緩慢に減少していった。以上のことから、細胞内においてアミノ酸、特にアミド濃度が過剰になると、最初にNR遺伝子の発現が抑制され、続いてNRの失活、NRタンパク質の分解が起こることが示唆された。しかし、アイソザイム間でその機構に違いは見いだせなかった。
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Research Products
(1 results)