1998 Fiscal Year Annual Research Report
有用細菌の根圏定着に及ぼす土壌集積カルシウムの影響と細胞内Ca^<2+>濃度の調節機構
Project/Area Number |
09760060
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
境 雅夫 九州大学, 農学部, 助手 (20225775)
|
Keywords | カルシウム / 蛍光性シュードモナス / 塩類集積土壌 / aequorin / Pseudomonas putida |
Research Abstract |
カルシウム集積土壌で有用根圏細菌である蛍光性シュードモナスの接種効果を十分に発揮させるためには、Ca^<2+>耐性菌株を用いる必要のあることが、これまでの研究で示唆された。さらに、Ca^<2+>濃度が高い環境では,蛍光性シュードモナスの走化性が阻害されることが,その要因の一つであることを明らかにした。そこで,Ca^<2+>による蛍光性シュードモナスの走化性阻害機構を明らかにするため,細胞内Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>]i)に着目し,走化性機能発現に及ぼすCa^<2+>の影響について検討した。 まず、蛍光性シュードモナスの[Ca^<2+>]iをCa^<2+>と特異的に反応・発光するタンパク質aequorinを利用して測定した。その結果,Ca^<2+>の添加によって,細胞内へのCa^<2+>流入が生じ[Ca^<2+>]iが上昇することが確認され,細胞が高いCa^<2+>濃度環境にさらされた場合,[Ca^<2+>]iが上昇することが分かった。 次に、 [Ca^<2+>]iの上昇が蛍光性シュードモナスの走化性に及ぼす影響を検討した。CCDカメラを備えた顕微鏡下において,Ca^<2+>を添加した場合の走化性の変化をVideo画像として記録し,画像解析ソフトNIH Imageにより細胞の方向転換頻度(1秒間あたりの方向変化数),及び運動速度を解析した。その結果,HEPES bufferのみを添加した場合の方向転換頻度は0.46/sで,運動速度は57.2μm/Sであった。また,走化性の誘引物質プロリンを添加した場合は,走化性応答により方向転換頻度が顕著に低下することが確認された。しかし,Ca^<2+>の添加は方向転換頻度を増加させ,さらに,誘引物質プロリンの添加による方向転換頻度の低下も抑制した。一方,運動速度には大きな差は認められなかった。 以上より,Ca^<2+>による蛍光性シュードモナスの走化性阻害要因は[Ca^<2+>]iの上昇による方向転換頻度の増加によるものと推察した。
|