1997 Fiscal Year Annual Research Report
黄色ブトウ球菌の二成分性赤血球崩壊毒素γ-ヘモリジンの血球崩壊メカニズムの解明
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09760064
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金子 淳 東北大学, 農学部, 助手 (30221188)
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Keywords | S. aureus / γ-Hemolysin / Panton-Valentine Leukocidin / phage |
Research Abstract |
1.赤血球膜上におけるγ-ヘモリジンの各成分の結合に必須な物質の同定 (1)F成分:赤血球膜の脂質を抽出し作成した人工膜を用い、F成分の結合性を検討したが、脂質のみでは結合は見られなかった。また、ウェストウェスタン法による膜タンパク質との結合実験では、有意な膜タンパク質を特定することはできていない。一方、申請者らはγ-ヘモリジン、ロイコシジンファミリーに属する、3種類のF成分を取得している。これらはいずれもHγIIとともに赤血球崩壊活性を示すが、活性の強さが異なっている。現在それぞれの一次配列の差異と赤血球に対する結合性、及び活性との関係を解析中である。その結果から、赤血球との結合性に関与している最小領域を明らかにし、さらに、血球上の因子の特定を行う。 (2)HγII成分:因子は特定できていない。現在、上記のF成分の解析を進め、F成分の構造中におけるHγII成分と直接作用しうる領域の有無の解析を進めている。さらにF成分の各機能ドメインの解析から、F成分の結合により赤血球表面へのHγII成分の結合を可能にしうる最小領域を解析し、F成分結合後に赤血球表面に提示されているHγIIのレセプターを追究する。 2.毒素成分遺伝子を有する新規ファージの発見 申請者らは、γ-ヘモリジン、ロイコシジンファミリーに属するPanton-Valentine型ロイコシジンの遺伝子が、S. aureus V8株において、新規の溶原化ファージのゲノム上にコードされていることを世界で初めて発見した。そして、ファージ遺伝子の全配列を決定し、染色体DNAに溶原化した状態で存在することを確認した。現在、溶原位置の特定を行っている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Jun Kaneko: "Panton-Valentine Leukocidin Genes in a Phaye-like particle Isoleted from MitomycinC-Treated Staphylocouus annens V8 (AτCC49775)" Biosci, Biotech. Biochem.61 (11). 1960-1962 (1997)
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[Publications] 金子 淳: "黄色ブドウ球菌の二成分蛋白質毒素" 化学と生物. 36 (3). 160-167 (1998)