1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09760078
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
魚住 信之 名古屋大学, 生物分子応答研究センター, 助教授 (40223515)
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Keywords | チャネル / トランスポータ / アラビドプシス / 膜蛋白質 / 膜電位 / 浸透圧 / 膜貫通 / K^+ |
Research Abstract |
1 Arabidopsisから単離した2種類のK^+チャネル、KAT1およびAKT2はC末端領域に親水性の高い領域を持つ。その部位に相当する14kD(KAT1)および25kD(AKT2)のそれぞれの部分蛋白質をマルトース結合蛋白質との融合蛋白質として作成し大腸菌で発現させて精製した。精製蛋白質をウサギに免疫してそれぞれを認識する抗体を調製した。抗KAT1抗体と抗AKT2抗体の特異性を植物の抽出液を試料にしてウエスタンブロティングによって検定したところ、抗原以外の非特異的バンドも検出された。今後本抗体を用いたK^+チャネルの局在化を検討するためには更なる抗体の精製が必要である。 2 KAT1機能調節に関与すると考えられるC末端領域について、今回はリン酸化の可能性をソラマメ(Visia fava)の孔辺細胞抽出液を用いて調べた。その結果アブシジン酸ABA処理した細胞の抽出液はKAT1のC末端領域をリン酸化した。他の植物ホルモンではリン酸化が起こらなかった。今後、リン酸化を受ける残基を決定して、K^+輸送能との関係を明らかにしていく予定である。 3 Arabidopsisからクローン化したK^+トランスポータcDNA(AtHKT1)の5´欠損領域を5´RACE法によって単離し、全塩基配列を決定した。読み取り枠から推定される蛋白質の質量は58KD、10-12程度の膜貫通領域を持ち小麦のK^+トランスポータ(HKT1)と極めて類似していた。また、クローン化した本遺伝子は染色体には1コピー存在した。本遺伝子産物を卵母細胞を用いて解析したところ、過分極した際に内向きのNa^+電流が検出された。しかし、K^+については本実験条件では小麦のHKT1で測定されるK^+電流はAtHKT1では測定されなかった。現段階では、本研究でクローン化したAtKT1はNa^+トランスポータであり、K^+透過性が無い点で小麦HKT1とAtHKT1の機能に相違がある。
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