1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09760082
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
増田 誠司 京都大学, 大学院・農学研究科, 助手 (20260614)
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Keywords | エリスロポエチン / 神経細胞 / 細胞死 / 虚血 |
Research Abstract |
エリスロポエチン(EPO)は赤血球前駆細胞に作用し、その分化と増殖を促進するサイトカインであり、赤血球量の調節に最も重要な働きを持つ糖蛋白質である。EPOは造血系にのみ作用すると信じられてきたが、中請者らのグループはEPOが脳神経系において新しい機能を持つ可能性を示した。本研究は、in vivoにおいて腎一造血組織というエンドクラインシステムとは全く独立して、中枢神経系ではニューロン-アストログリア細胞というパラクラインシステムでEPOが生理的意義をもって作用することを証明することを目的とした。 1.EPOの虚血によるニューロン死阻止効果-砂ネズミを用いた学習記憶実験- 砂ネズミに短時間の虚血を施すと、1週間後には海馬CA1領域のニューロンの半分は遅発性神経細胞死を起こし死ぬ。脳内に小型ポンプを埋め込み、連続的にEPOあるいはEPO可溶型受容体を脳室内に投与した。その結果、EPOの投与はニューロン死を低減し、可溶型受容体はニューロン死を促進した。これよりEPOはin vivoにおいても海馬CA1ニューロンの虚血による細胞死をin vitroと同様に効果的に阻止できるだけでなくアストログリアの生産する内因性のEPO自体が中枢神経系に生理作用を持つことを証明した。 2.神経特異的EPO可溶型受容体発現トランスジェニックマウスによるEPOの生理的意義の解析 EPO可溶型受容体を中枢神経系で特異的に発現させるマウスを作製した。可溶型EPO受容体はアストログリア細胞で産生されたEPOの作用を阻害する。可溶型EPO受容体発現マウスとノーマルマウスの虚血に対する耐性を測定する。学習記憶実験はまとまった動物の数が必要であり、F1,F2マウスを得ているところである。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Morisita,E., Masuda,S., Nagao,M., Yasuda,Y. And Sasaki,R.: "Erythropoietin receptor is expressed in rat hippocampal and cerebral cortical neurons,and erythropoietin prevents in vitro glutamate-induced neuronal death" Neuroscience. 76. 105-116 (1997)
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[Publications] Masuda,S., Chikuma,M. and Sasaki,R.: "Insulin-like growth factors and insulin stimulate erythropoietin production in primary cultured astrocytes" Brain Res.746. 63-70 (1997)