1997 Fiscal Year Annual Research Report
腸内細菌のレギュロン間ネットワークにおける転写相互作用に関する研究
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09760092
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
阿座上 弘行 山口大学, 農学部, 助手 (40263850)
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Keywords | 腸内細菌 / Klebsiella aerogenes / レギュロン / モノアミン / 転写 |
Research Abstract |
ドーパミン、ノルエピネフリンなどのモノアミン化合物は神経伝達物質として知られ、その濃度異常により躁鬱病を発症する。近年、生体内でのモノアミン濃度の調節に、腸内細菌の関与が示唆されている。我々は、腸内細菌よりモノアミン化合物によって誘導される遺伝子群を発見し、モノアミンレギュロンと名付けた。これまでに7つのモノアミンレギュロン遺伝子をクローニング、解析している。その中の5つの遺伝子は、moaE-moaF-atsB-atsA-moaRとクラスターを形成している。今回、Genomic walkingにより、moaRの下流域をクローニングし、その解析を行った。 Cassette PCR法により、moaR遺伝子の下流約2kbのDNA断片を取得した。シークエンス解析により2つのORFを発見した。一つは約1kbのORFで、データベース検索からは機能は推定できなかった。これを暫定的にorf1と命名した。もう一つはC末側を欠いていたが、数種のバクテリアのacetylpolyamine amidohydolaseと高い相同性が認められた。これをmoaGと命名した。lacZ融合プラスミドを用いた解析により、orf1、moaGは独立したプロモーターにおいて、モノアミン化合物により調節されていることがわかった。 モノアミン化合物の生体内での調節には、硫酸化、アセチル化などによる抱合が考えられる。その脱抱合酵素がregulator遺伝子を挟んでコードされているという興味ある結果が得られた。今回新たに得られた遺伝子を含めて、モノアミンレギュロンが腸内でどのように機能するか、次年度以降明らかにしたい。
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