1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09760109
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
赤坂 和昭 東北大学, 農学部, 助手 (10201881)
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Keywords | 不斉誘導体化 / HPLCによる不斉識別 / 分岐カルボン酸 / 蛍光誘導体化 / NMRによる不斉識別 / 遠隔位不斉識別 |
Research Abstract |
ピレイミド型蛍光誘導体化試薬の共通する原料となる1, 10-ピレンジカルボン酸無水物をピレンから3工程、22.3%で合成するルートを確立した。更に、種々のアミン類を用いたイミド化により蛍光誘導体化試薬の合成ルートを確立した。これらピレンイミド型試薬はいずれも非常に強い蛍光を有し、HPLCにより10^<-16>molレベルの検出が可能と期待できた。一方、同型試薬であるアントラセンジカルボン酸と光学活性2-アミノ-1-プロパノール及び1-アミノ-2-プロパノールより合成した不斉誘導体化試薬はいずれも、従来識別が困難であるとされてきたカルボキシル基から遠隔位(少なくとも2-6位)に存在するメチル基の分岐による不斉(メチル基とエチル基による不斉)をHPLC及びNMRにより識別可能であることを世界で初めて発見した。これはCD及びNMRの結果より、試薬のエタノールアミン部においてイミド基とエステル基がゴ-シュ配座、メチル基とイミド基或いはエステル基がトランスとなるゴ-シュ/トランス配座を安定にとるため、誘導体分子は螺旋型不斉構造をとりながら折れ曲がった構造となり、分岐脂肪酸の不斉とアントラセン環が相互作用し合ったためと考えられた。アントラセンの代わりにより大きな面積を有するピレンイミド型試薬では更におおきな相互作用形成によるより良好な不斉識別が期待できた。そこでピレンイミド型試薬を合成し、HPLCによる不斉識別能をアントラセンイミド、ナフタルイミド、及びフタルイミド型試薬と比較した結果、2-6位に分岐をもつ脂肪酸に対しより高い不斉識別能を有することを明らかとした。これらの研究により従来困難であった分岐脂肪酸の不斉誘導体化法による遠隔位不斉識別に大きな道を開くことができた。
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[Publications] K. Akasaka, H. Meguro, H. Ohrui: "Enatiomeric separation of carboxylic acids having chiral centers remote from the carboxyl group labelling with a chiral fluorescent derivatization reagent." Tetrahedron Letters. 38・39. 6853-6856 (1997)