1998 Fiscal Year Annual Research Report
植物のZ-クリスタリン様タンパク質による酸化的ストレス防御機構の解明
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09760116
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
真野 純一 京都大学, 食糧科学研究所, 助手 (50243100)
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Keywords | ゼータ クリスタリン / 酸化的ストレス / タバコ / シロイヌナズナ / キノン レダクターゼ / 植物生理学 |
Research Abstract |
シロイヌナズナcDNAライブラリーから酵母の酸化的ストレス耐性を増大する因子としてクローニングされたP1遺伝子はモルモット眼球レンズに含まれるゼータクリスタリン(zCr)と相同なタンパク質をコードする。前年度までに,Plタンパク質がNADPH:キノン還元酵素活性(1電子還元)およびアゾジカルボニル化合物をNADPHによって2電子還元する活性を有する新規な活性を持つ酵素であることを明らかにした。今年度は,酵素活性の解析に加え,P1タンパク質を過剰発現させたタバコ植物を用い,P1タンパク質の植物での機能について解析し,以下の点を明らかにした。 1) P1タンパク質のプラストキノン還元酵素活性:大腸菌で発現させた組み替えP1タンパク質(rP1p)はNADPHを電子供与体とするプラストキノン(PQ)還元酵素活性を示すことを明らかにした。PQに対するKm値は25μMであった。 2) シロイヌナズナでのP1タンパク質の局在性:rP1pに対する抗血清を用いた組織観察から,シロイヌナズナではP1タンパク質は葉肉細胞で特異的に発現し,細胞内で顆粒状に分布していることを明らかにした。 3) タバコ生葉でのクロロフィル蛍光測定から,P1タンパク質を大量発現ざせたタバコでは葉緑体の循環的電子伝達活性が上昇していることを明らかにした。 4) P1タンパク質を大景発現させたタバコは除草剤パラコートに対する耐性を獲得していた。 以上の結果から,Plタンパク質は葉緑体でNADPH:plastoquinone oxidoreductaseの活性を発現し,光合成循環的電子伝達に寄与することが示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Mano.J.,Belles-Boix.E.,Babiychat,E.,Inzi,D.and Asada,K.: "Enzymic Characters and Overexpression in Tabacco of Arabidopsis P1/z-Crystallin" Plant Cell Physiol. 39. S21 (1998)