1998 Fiscal Year Annual Research Report
天然多糖の有効利用に基づく抗腫瘍活性アセトゲニン類の合成化学的研究
Project/Area Number |
09760119
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高橋 俊哉 理化学研究所, 有機合成化学研究室, 先任研究員 (00202151)
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Keywords | アセトゲニン / 抗腫瘍活性物質 / ムコシン / 全合成 |
Research Abstract |
本研究では、天然多糖から容易に調製可能な2,5-アンヒドロ-D-マンニトール(1)を鍵出発物として用いることにより抗腫瘍活性・殺虫活性などの顕著な生物活性を持ったアセトゲニン類を立体選択的に合成することを目的としている。本年度は、強力な抗腫瘍活性物質であるムコシン(2)の全合成に成功した。 昨年度に、ムコシン(2)の5員環エーテル部分(2のC_<11>〜C_8フラグメントに相当する)の立体選択的合成を終了していたので、残されたフラグメントである6員環エーテル部分ならびに分子末端γ-ラクトンの立体選択的合成から検討を開始した。その結果、昨年度の鍵中間体から、炭素鎖延長反応や環拡大反応を経て目的の6員環エーテルが構築できることを見出した。しかし、収率の点で問題があったので、ガラクトビラノシドからの別合成法も開発した。また、同様の中間体から、γ-ラクトン部位の合成を検討した。当初の計画どうり各ステップとも高収率かつ高選択的に進行したものの、一部再現性に乏しい段階を含むため実用性に乏しいと判断し、急濾ラムノフラノシドからの新規ルートで合成を行った。こうして用意された3つのブロックを、順次カップリング反応に供した。5員環エーテルと6員環エーテル部分の立体選択的なカップリング反応は、通常のリチウムやマグネシウム試薬を用いると収率や選択性で問題を残したが、セリウム塩の添加でこれを克服した。カップリング成績体は数段階の官能基変換を経て、2のC_<10>〜C_<34>セグメントに導いた。このものを先のγ-ラクトン部位と縮合させ、ムコシン(2)の全合成を達成した。今後の課題は、本合成で得られた中間体や各段階で得られたジアステレオマーを活用した生物試験であり、天然物より優れた活性を有する人工アナログの創製にも寄与できるものと考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Takahashi S.: "Total Synthesis of an Anticancer Agent, Mucocin. 1.Stereoselective Synthesis of the Left-half Segment" Tetrahedron Letters. 40(4). 723-726 (1999)
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[Publications] Takahashi S.: "Total Synthesis of an Anticancer Agent, Mucocin. 2.A Novel Approach to a γ-Hydroxy Butenolide Derivative and Completion of Total Synthesis" Tetrahedron Letters. 40(4). 727-730 (1999)