1997 Fiscal Year Annual Research Report
T細胞受容体トランスジェニックマウスを用いた抗原構造変換による免疫制御機構の解析
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09760124
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
戸塚 護 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (70227601)
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Keywords | トランスジェニックマウス / T細胞レセプター / 抗原未感作T細胞 / アナログペプチド / TCRアンタゴニスト / サイトカイン産生 / 卵白アルブミン |
Research Abstract |
卵アレルゲンである卵白アルブミン(OVA)の323-339残基ペプチド(OVA323-339)特異的なT細胞レセプター(TCR)を発現するTCRトランスジェニックマウス(TCR-Tgマウス)を用い,抗原ペプチドアナログに対する免疫応答を解析した。OVA323-339の一残基置換アナログの中には,高濃度(5μM以上)で加えてもTCR-Tgマウス由来T細胞の増殖応答を誘起しないが,そのT細胞の存在下でB細胞の抗体産生を増強するものがあった.またOVA323-339でも5nMの濃度で加えた場合にのみ同様の現象が認められた.これらの刺激条件下でのT細胞表面のCD40Lの発現を抗CD40L抗体を用いたフローサイトメトリーで解析したところ,その発言は認められなかった.また,B細胞に作用し抗体産生増強活性をもつインターロイキン(IL)-4の産生をELISA法により調べたところ,その産生は認められなかった.したがってT細胞の増殖応答を伴わない,T細胞依存性のB細胞活性化はこれらの分子の発現増加では説明できなかった.また,これらの刺激条件下でTCR-Tgマウス由来抗原未感作T細胞を培養して1次刺激を行ったのち,2回目に様々な濃度のOVA323-339で刺激した場合,抗原非存在下で1次培養を行った場合と同様の結果が得られた。これより抗原未感作T細胞がIgG抗体産生誘導能を発揮するような抗原刺激は2次刺激後のサイトカイン産生パターンに影響を与えないことが示唆された。 次に,TCR-Tgマウス由来T細胞の抗原応答を制御するTCRアンタゴニスト活性をもつOVA323-339アナログペプチドを,増殖応答,IL-2,4,5産生を指標として検索したところ,2つのペプチドがその活性をもつことが明らかとなった.これらを用いてin vivoにおけるTCRアンタゴニストの作用の解析が可能となった.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] M.Totsuka et al.: "Fine mapping of T-cell determinants of bovine β-lactoglobulin." Cytotechnology. 25. 101-114 (1997)
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[Publications] M.Totsuka et al.: "Antigen-specific inhibition of CD4^+T-cell responses to β-lactoglobulin by its substituted mutant from through T-cell receptor antagonism." Cytotechnology. 25. 115-126 (1997)
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[Publications] M.Toda et al.: "Differential effect of antigen analogs with T cell inhibitory activity on in vivo antibody response." Animal Cell Technology. 9. 91-95 (1998)
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[Publications] M.Kohyama et al.: "Selective induction of CD8^+Tcell functions by single substituted analogs of an antigenic peptide:distinct signals for IL-10 production." FEBS Letters. 印刷中. (1998)
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[Publications] Y.Takahashi et al.: "MHC class II/T cell receptor interaction potentiate secretion of IgG but not IgM in response to T-dependent antigens." Immunology Letters. (印刷中). (1998)