1997 Fiscal Year Annual Research Report
CCK放出ペプチド受容体の同定とその生理的意義の解明
Project/Area Number |
09760129
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
都築 巧 京都大学, 大学院・農学研究科, 助手 (50283651)
|
Keywords | CCK / small intestine / receptor |
Research Abstract |
食物摂取による膵酵素分泌は小腸から放出されるコレシストキニン(CCK)によって調節されている。申請者らは小腸表面に作用してCCKの放出を促進する内因性のペプチド(モニターペプチド)を発見しその構造を決定したが、本研究では、小腸CCK産生細胞に局在すると思われるモニターペプチドの受容体の構造を明らかにし、その分子のCCK放出における生理的役割について検討を加えることを目的としている。 モニターペプチドの小腸分散細胞に対する結合はトリプシンのアフィニティーラベル試薬であるTLCKによって阻害されることから、モニターペプチド受容体はその分子中にトリプシン分子と同様の構造をもつ領域があることが推測された。そこで、種々の哺乳動物のトリプシンに共通して存在するアミノ酸領域Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro付近に相当する数種類のオリゴヌクレオチドを作成し、ラット小腸由来のmRNAから3'RACE法により約700bpのPCR断片を得た。完全長のcDNAクローンを得るため、得られたPCR断片をcDNAプローブとしてラット小腸cDNAライブラリーからスクリーニングを行ったところ、約3.3kbpのcDNAクローンが得られた。塩基配列の解析から、このcDNAクローンは少なくともアミノ酸825個からなるタンパク質をコードしていた。このタンパク質は細胞膜を1回貫通し、N末端にアミノ酸約26個からなる細胞内領域、C末端側(小腸管腔側)にアミノ酸約300個からなるセリンプロテアーゼ様ドメインを有していた。これらの構造上の特徴はモニターペプチドと小腸分散細胞の結合実験の結果と矛盾しないものであり、今回クローニングされた遺伝子はモニターペブチド受容体をコードしているものである可能性が高い。
|