1998 Fiscal Year Annual Research Report
CCK放出ペプチド受容体の同定とその生理的意義の解明
Project/Area Number |
09760129
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
都築 巧 京都大学, 農学研究科, 助手 (50283651)
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Keywords | CCK / small intestine / receptor |
Research Abstract |
食物摂取による膵酵素分泌は小腸から放出されるコレシストキニン(CCK)によって調節されている。申請者らは小腸表面に作用してCCKの放出を促進する内因性のペプチド(モニターペプチド)を発見しその構造を決定した。本研究では、小腸CCK産生細胞に局在すると思われるモニターペプチド受容体の構造を明らかにし、リガンド結合後のCCK放出機構について解明することを目的とする。 モニターペプチドの小腸分散細胞に対する結合はトリプシンのアフィニティーラベル試薬であるTLCKによって阻害されることから、モニターペプチド受容体は分子内にトリプシンと同様の溝造を持つ領域があることが推測された。そこで、ラット小腸cDNAライブラリーから新規トリプシン様物質のcDNAクローニングをおこなったところ、アミノ酸855個からなる蛋白質をコードするクローンを得た。この蛋白質は細胞膜を1回貰通し、アミノ末端に少なくともアミノ酸50個からなる細胞内領域、カルボキシル末端にアミノ酸約240個からなるトリプシン様ドメインを有すると予測された。これらの構造上の特徴は、現在までに得られているモニターペプチド受容体に関する生化学的諸見と矛盾しないものであった。In situ hybridization法により、この分子のmRNAの局在性を検討したところ、十二指腸先端部分に発現が見られ、他に結腸にもわずかに発現が誌められたが、胃では見られなかった。この結果は十二指腸、結腸、胃それぞれの分散細胞に対するモニターぺプチドの結合パターンと一致した。現在、得られているクローンの産物がモニターペプチド受容体本体であることを立証するために、発現べクターに組み込んだcDNAを培養細胞に導入し、モニターペプチドの特異的結合が見られるかを検討中である。
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