1997 Fiscal Year Annual Research Report
木造戸建住宅の商品性の変遷と木質材料の使用に関する研究
Project/Area Number |
09760143
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
濱本 なお 京都大学, 農学部, 助手 (70273498)
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Keywords | 木造住宅 / 集成材 / 住宅工法の合理化 / 住宅の商品性 / 木質材料 |
Research Abstract |
本年度は年間数千戸から一万戸の木造軸組工法住宅を供給する大手住宅メーカーを対象とし,「住宅の商品性」の現状と使用木材との関連について調査・研究を行った。 木造軸組工法住宅メーカー(以下,軸組メーカーと呼ぶ)らの住宅商品において「商品性」を表すものとして木質材料が重要な役割を果たす場面には,二通りある。一つは,ヒノキ材に代表される国産優良樹種の使用が強調された住宅であり,今一つは,構造用集成材に代表される工業化木材の使用が強調された住宅である。とくに,1996年から97年にかけて,後者が誕生し,前者との二極分化に向かいつつあることが明らかになった。 軸組メーカーらは,住宅部品としての性能という点では,一般製材でも人工乾燥(KD)材であれば,構造用集成材と同時に評価している。とくにKDの効果が高いヒノキ材を使用した住宅商品は,高級木造住宅の象徴として,今後も存続するとみられる。ただし,KDの効果の低いスギ材使用の住宅商品は後退しており,代わって構造用集成材を使用した住宅商品が台頭している。ただし,これまでのところ,構造用集成材は「形状変化しない究極の乾燥材」程度の意味しかなかった。ところが,ごく最近では,構造用集成材ならではの特長を活かした住宅工法・商品が開発されつつある。例えば,仕口などの加工をせず軸組を金物で繋ぐ工法や,パネルと軸組を一体化して工場生産する工法などで,こうした工法の部品としては,KD材より構造用集成材のほうが有利性が高い。新工法は,プレハブ住宅等の工業化住宅に対抗し,生産の合理化を図る目的で開発された。今後住宅需要の減少が予想され,住宅メーカー間の競争が激化する局面において,構造用集成材という木質材料が,「生産の合理化された住宅」という木造住宅の新たな「商品性」を表すものとして登場してきた事実を示すものである。
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Research Products
(1 results)