1998 Fiscal Year Annual Research Report
山地渓流の自然微地形を考慮した土砂移動に関する研究
Project/Area Number |
09760149
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
三好 岩生 京都府立大学, 農学部, 助手 (40240949)
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Keywords | 自然渓流 / 微地形 / 土砂水理特性 / ステッププール構造 / 散在礫 / 流砂量 / 流速分布 |
Research Abstract |
山地自然渓流の自然微地形の形態的な特性を明確にすること,および,その場における流れの土砂水理学的特性を明らかにすることを目的として,野外現地調査と室内実験による検討を行った。 現地調査では,典型的な山地自然渓流の微地形を呈する急勾配渓流である京都府立大学久多演習林内の岩屋谷川において,勾配が約1/8〜1/20の流路区間の河道微地形と流速分布を詳細に測定した。その結果,山地自然渓流の微地形はステップ・プール構造(階段状河床構造)と蛇行によって大まかな形状が規定されていることや,その水理特性は河床に散在する大礫の影響を強く受けていることなどがわかった。 現地調査の結果を受けて,2種類の水理模型実験を行った。まず,ステップ・プール構造を含む自然微地形を模した水路を作成し,そこでの流れの水理特性について検討した。その結果,自然微地形を模した流路においては,三次元的に複雑な流速分布や水面形が存在し,その形成には渓床の礫群が作る微少な凹凸が強く影響すること等の定性的特徴がわかった。そこでさらに,散在礫のモデルを配置した矩形断面水路を用いた実験を行い,渓床に散在する大礫の土砂水理学的な効果についての定量的評価を試みた。実験より,散在礫のある流路においては,礫の高さを超える層とそれより下の層で流れの構造が異なり,掃流砂はそのほとんどが礫の間で発生することが観測された。そこで,樹林帯等の立体的な粗度間の流れに関する従来の土砂水理学的研究の成果を応用して,散在礫が存在する流路での流速係数や流砂量の予測式を提案したところ,それらによって実測値がほぼ説明されることが確認された。この成果は,実験条件などの面から適用範囲に制限があるものの,自然渓流の土砂水理学について,その物理性を取り入れながら解明する一つの方法を示せたものと思われる。
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