1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09760151
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小澤 修二 北海道大学, 農学部, 助手 (50204194)
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Keywords | リグナン / 生合成 / キタコブシ / O-メチルトランスフェラーゼ / モクレン科 |
Research Abstract |
本研究では、リグナン生合成の代謝制御とその反応機構を明らかにするため、樹木の代表的なリグナンの生成に関する立体化学的制御機構を検討するとともに、O-メチルトランスフェラーゼやメチレンジオキシ基生成酵素等のリグナンの官能基変換に関与する酵素系についての知見を得ることを目的とした。 本年度は、植物材料としてキタコブシを用い、リグナンの芳香核官能基変換に関与するO-メチルトランスフェラーゼやメチレンジオキシ基生成酵素系を検討した。 まず、十数種のラセミ体リグナンを化学的または酵素的に合成し、キタコブシ含有リグナンのエナンチオマー組成を精査した。キタコブシの非フェノール性フロフラン型リグナンはすべて光学的に純粋な(+)-体のみであったのに対し、pinoresinolやsyringaresinolなどのフェノール性フロフラン型リグナンは、(+)-体が優先的であったが光学的に純粋ではなかった。 次に、キタコブシの非フェノール性フロフラン型リグナンの生成をセルフリー系で検討した。その結果、キタコブシ若枝から調製された粗酵素溶液は、S-アデノシルメチオニン存在下、種々のフェノール性フロフラン型リグナンのパラ位水酸基のメチル化反応を触媒すること、さらに、エナンチオ選択的なO-メチルトランスフェラーゼが関与すると考えられる数種の新規生合成経路を明らかにした。これらの酵素の精製及びキャラクタリゼーションは、今後の課題である。 次に、リグナンの生成に関与するメチレンジオキシ基生成酵素系を検討するため、放射性同位体標識のリグナンを合成した。現在、粗酵素抽出液を用いるトレーサー実験によりメチレンジオキシ基生成酵素のアッセイ条件を検討している。
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[Publications] Teruhisa Miyauchi: "Formation of (+)-eudesmin in Magnolia kobus DC.var.borealis Sarg…" Phytochemistry. 47. 665-670 (1998)
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[Publications] Shuji Ozawa: "Structure elucidation of phenylpropanoid wood extractives" Studies in Natural Products Chemistry. 20. 613-657 (1998)