1998 Fiscal Year Annual Research Report
樹木木部細胞におけるアクチンフィラメントの三次元ネットワークに関する研究
Project/Area Number |
09760152
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
船田 良 北海道大学, 農学部, 助教授 (20192734)
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Keywords | アクチンフィラメント / 表層微小管 / 共焦レーザ走査顕微鏡 / 樹木木部細胞 |
Research Abstract |
樹木木部細胞の形態形成機構を明らかにする目的で、セルロースミクロフィブリルの堆積方向や堆積場所を制御すると考えられている細胞骨格(表層微小管やアクチンフィラメント)の木部分化中の配向変化を間接蛍光抗体染色法と共焦点レーザ走査顕微鏡法を組み合わせて観察した。 木部細胞分化中の両者の関連性を明らかにするためには、同一試料上で両者の配向を調べる必要がある。そこで、針葉樹の樹幹形成層領域から試料採取後、凍結切片を作製し、まずアクチンに対するマウス一次抗体と微小管に対するラット一次抗体で抗体染色した。さらに、異なる蛍光試薬で標識された抗マウス二次抗体と抗ラット二次抗体で処理し、切片の二重染色を行った。次に、共焦点レーザ走査顕微鏡の励起光波長を変えて表層微小管像とアクチンフィラメント像を別々に作成し、これをコンピュータ上で重ね合わせ像として再構築することにより、木部細胞中の両者の立体的な位置関係を直接明らかにすることが可能となった。その結果、分化中仮道管の表層微小管は一次壁形成中、二次壁形成中共に連続的に配向変化するのに対し、アクチンフィラメントは仮道管長軸にほぼ平行に配向し、木部分化中における配向変化は認められなかった。これらの結果は、植物培養細胞で得られているアクチンフィラメントの配向が表層微小管の配向変化に先行して変化し表層微小管の配向を制御するという知見とは異なり、樹木木部細胞の細胞壁形成中には両者の配向に直接的な関係は認められないことを示唆している。本研究の結果は、韓国で行われた国際木材解剖学会で発表した。
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Research Products
(1 results)