1997 Fiscal Year Annual Research Report
木質構造に軽量形鋼を組込んだ混構造における接合部の変形性状と建築物の振動性状
Project/Area Number |
09760157
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
名波 直道 静岡大学, 農学部, 助手 (10291395)
|
Keywords | 木質構造 / 軽量形鋼 / 接合部 / 混構造 / ドリリングタッピンねじ / 床組 / 振動実験 / 動たわみ |
Research Abstract |
木質建築物にその構造躯体の一部として軽量形鋼(薄板鋼板)を組込む場合、接合部に使用される材料の組合せで通常の木質構造に見られないものは次の3形式である。すなわち、接合具の打込み方向が鋼材から木質材料へ(鋼→木とする、以下同様)、木質材料から鋼材へ、および鋼材から鋼材へである。このうち、鋼→木接合部は金物と木質材料の接合部と同様と見なすことが可能である。また、鋼→鋼接合部はスチールハウスの構造において検討されている。したがって、ここでは木→鋼接合部に関して検討することとした。今回検討した木→鋼接合部は、枠組壁工法構造用製材から鋼材へ、および構造用合板から鋼材への2種とした。これらの接合には接合具として何れもドリリングタッピンねじを使用し、先行穴は設けなかった。製材→鋼接合には5φ×63mmの、合板→鋼接合には4.2φ×30mm(皿頭)のビスをそれぞれ使用した。1.0mm厚ZSB400鋼板を主材、S-P-F甲種2級204材および15mm厚ラワン合板を側材としたこれら接合部の一面せん断引張試験を実施した。それぞれのビス1本あたりの最大荷重の平均値は製材→鋼接合部で約186kgf/本、合板→鋼接合部で約302kgf/本であった。また、破壊性状としては何れもビスの木部へのめり込みであり、ビス・鋼板の破断は見られなかった。これらの最大荷重は木同士の釘接合部に比して十分な値であり、ビスによる木→鋼接合部が十分な耐力を持つことが認められた。さらに、C-235×50×20×1.2のZSB400リップ付溝形鋼を床根太として使用し、床下地として15mm厚ラワン合板を使用した床組の振動実験を行った。床組は枠組壁工法による壁組上に置かれ、床根太スパンは4550mmであった。床上50mmからスパン中央へ3kg粘土塊を落下させた床根太中央部の動たわみは0.33mm程度であり、対数減衰率は3〜3.5%程度であった。今後は木質床組との比較を行い、その性能をさらに詳細に検討する。
|